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健保ニュース 2021年11月中旬号

厚労省が次期薬価改定の論点
中医協 調整幅のあり方など議論
支払・診療側の意見は二分

厚生労働省は令和4年度の次期薬価改定に向けた論点を整理し、5日に開催した中医協の薬価専門部会に提案した。

調整幅のあり方については、支払側がデータにもとづくゼロベースの検討を求める一方、診療側は引き下げや変動は困難と問題提起し、意見は二分した。

厚労省はこの日の会合に、①新規後発品の薬価算定②調整幅のあり方③高額医薬品に対する対応④診療報酬改定がない年の薬価改定─をテーマとする「次期薬価改定について(その2)」と題する資料を提示した。

このうち、①は、毎年薬価改定の実施に伴い、6月に収載された新規後発品が9月の薬価調査の結果にもとづき翌年4月に薬価改定される現状を踏まえたルールのあり方を論点とした。

②は、薬剤流通の安定のために、平成12年度改定以降、市場実勢価格の加重平均値に対して2%を上乗せしている「調整幅」について、薬価改定が毎年実施される現状を踏まえたあり方を論点として提案。

③は、「国民皆保険の持続性」と「イノベーションの推進」を両立し、「国民負担の軽減」と「医療の質の向上」を実現する観点から、これまでの品目の市場規模を大幅に超える薬剤が承認された場合の対応を論点として提起した。

④は、診療報酬改定がある年とない年における、薬価調査や薬価改定のあり方を論点とした。

論点①については、健保連の松本真人理事が、「新規収載後の市場実勢価格の現状など、データにもとづき議論を進めるのがリーズナブルと考える」と述べ、検討を要請。

支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、AG(オーソライズドジェネリック)の取扱いについて整理する必要があると指摘した。

診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、長期収載品の薬価の変動も確認しながら総合的に判断していくべきとの考えを示した。

論点②については、安藤委員が、現状のデータを踏まえ、調整幅の具体的な水準のあり方について改めてゼロベースで議論を進めていくべきと主張。

松本理事は、医薬品の剤型や種類、薬価の水準などの分布にもとづく検討を求めた。
 一方、城守委員は、新型コロナウイルス感染症対応や後発品問題に伴う安定供給障害などで流通経費や在庫管理のコストが増加していることから、「現時点で、引き下げたり、変動させたりすることはなかなか難しいのではないか」と問題提起した。

論点③については、安藤委員が、アルツハイマー病への新薬として承認申請されている「アデュカヌマブ」を念頭に置いた論点であるとの認識を示し、透明性を確保したうえでの原価計算方式、市場拡大再算定、費用対効果評価などの複合的な対応について、事前に検討を進めていくべきと指摘。

城守委員は、現行の市場拡大再算定の機動性をさらに高めるような仕組みを検討していくべきとの考えを示した。

論点④については、松本理事が、3年度の毎年薬価改定で実勢価改定と連動しないルールとされた「新薬創出等加算の累積額控除」の適用を強く要望。

城守委員は、「薬価と診療報酬の間には密接な関係があり、中間年改定は2年に1回の通常改定とは異なる位置づけ」と主張し、「薬価と実勢価の乖離が著しく大きい品目に限定して薬価の補正を行うべき」と言及した。

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