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健保ニュース 2021年11月中旬号

中医協が急性期入院テーマに議論
該当患者割合 両側の意見は平行線
必要度Ⅱの届出推進も論点

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は10日、総会を開催し、令和4年度の次期診療報酬改定に向けて、急性期入院医療をテーマに議論した。

旧7対1入院基本料に相当する「急性期一般入院料1」の「重症度、医療・看護必要度の該当患者割合」について、基準値の引き上げを求める支払側と引き上げは考えられないとする診療側の意見は平行線を辿った。

また、厚生労働省が業務負担軽減等の観点から提案した「重症度、医療・看護必要度Ⅱ」の届出をさらに進める対応については、支払側が賛同する一方、診療側は一律で進めることのないようクギを刺した。

入院医療については、8月25日以来、2巡目の議論となるが、この日の会合では、厚労省が急性期入院医療をテーマに、「重症度、医療・看護必要度」などにかかる課題への対応を論点として示した。

診療実績(DPC)データから変換する評価方式である「重症度、医療・看護必要度Ⅱ」を届け出ている施設が、「急性期一般入院料1」で約7割に達している状況を踏まえ、業務負担軽減等の観点から、さらに届出を進める対応を論点とした。

さらに、▽必要度Ⅱは2年に該当患者割合が高くなる傾向がある▽急性期一般入院料1は新型コロナ新規陽性者が100人未満・以上の県とも2年度の方が該当患者割合は高い─など、入院患者における急性期入院医療の必要性に応じた適切な評価を行う観点から、一般病棟入院基本料等における該当患者割合の考え方を論点として提案。

また、入院分科会の「最終とりまとめ」で問題提起された、A項目の▽心電図モニターの管理▽点滴ライン同時3本以上の管理▽輸血や血液製剤の管理─への対応も論点とした。

他方、「急性期一般入院料1」を届け出ている医療機関における手術等の実績に差がある実態を踏まえ、充実した急性期入院医療を担う医療機関への評価のあり方も論点に位置づけた。

このほか、特定集中治療室管理料を算定する患者でA項目の基準を満たしB項目の基準を満たしていない割合は1.7%にすぎない実態などを踏まえ、ICUにおけるB項目の測定の考え方を論点とした。

「必要度Ⅱ」の届出をさらに進める対応については、健保連の松本真人理事が、「最終的に必要度Ⅰを必要度Ⅱへ統一することを意識しながら届出を増やすべき」と主張し、論点に賛同。

診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、一定の理解を示したうえで、「病床規模の大きい病院が2年度改定後に必要度Ⅱに切り替えており、必要度Ⅰのニーズも一定程度ある」と指摘し、「一律に必要度Ⅱへの届出を進めると、反って現場に負担が生じてしまうことにも配慮が必要」と言及した。

「該当患者割合」については、松本理事が、「急性期一般入院料1の基準値を引き上げ入院料2など区分ごとに一定の差を設けることで、急性期入院医療の必要性に対応できるようになる」との考えを示した。

一方、城守委員は、「コロナ禍で救急対応能力が低下している現状下で、急性期入院料をさらに削減する方向性を打ち出すことは到底、考えられないのではないか」と問題提起した。

このほか、支払側は心電図モニターのA項目からの除外や、ICUにおけるB項目の削除を求めたが、診療側は明確に反対した。

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