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健保ニュース 2021年2月上旬号

後期支援金インセンティブ
令和3~5年度 新たな加算・減算基準が決定
3年度はコロナ影響を考慮

厚生労働省はこのほど、後期高齢者支援金にかかる加算・減算制度の運用等について、中間見直しを踏まえた、令和3年度年以降の新たな基準と新型コロナウイルス感染症に伴う対応を決めた。3~5年度の新たな加算・減算基準が定められ、加算については特定健診・保健指導のどちらかの実施率が著しく低い場合、法定上限の10%を加算することとした。2年度の加算率は、特定健診と保健指導にそれぞれ最大5%を設定し、合わせて最大10%まで引き上げたが、3年度以降、特定健診か保健指導のどちらか一方の実施率が低い場合でも、最大10%を加算する(合計で10%を超える場合、加算率は10%)。だだし、3年度については、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、2年度の加算率、加算対象を適用する。このため、実際に加算率が引き上げられるのは、4年度からとなる。減算についても新たな総合評価項目等が決定した。

後期高齢者支援金の加算・減算制度については、平成25年度から導入され、第2期特定健康診査等実施計画の最終年度の29年度までは加算率が0.23%、減算率が0.05%で運用されてきた。

これまでは全制度を対象に加減算を適用していたが、第3期特定健康診査等実施計画(平成30年度~令和5年度)が始動する30年度から制度を見直し、対象保険者を健保組合と共済組合に限定し、段階的に加算対象基準を拡大するとともに、加算率を引き上げた。減算においては特定健診・保健指導の実施状況のみならず、広く保健事業の取り組みを評価する総合評価指標が導入等された。

後期支援金の加減算制度は、第3期計画と同期間で運用され、計画期間の中間時点(2年度)でこれまでの実施率等をもとに3~5年度の後半3年間の見直しを行うこととしていた。

今回の決定は、令和2年11月19日の「保険者による健診・保健指導に関する検討会」で了承された見直し案を受けたもの。具体的には、▽3~5年度の加算基準、加算率▽3~5年度の減算基準▽点数の公表範囲▽新型コロナウイルス感染症の影響に対応した加算・減算制度の特例的対応方針─など。

今後、見直しの詳細については、厚労省より別途Q&Aが発出される予定である。

3~5年度の加算基準

特定健診の3~5年度の新たな加算基準については、現行制度の延長として加算が適用される基準を段階的に拡大していくが、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、3年度(2年度実績)においては2年度(令和元年度実績)の加算対象基準(単一健保57.5%未満、総合健保50%未満)・加算率を適用し、4年度(3年度実績)においては、単一健保65%未満、総合健保60%未満の組合に対象を広げ、実施率に応じた加算率を適用する。

5年度(4年度実績)は、単一健保70%未満、総合健保63.2%未満の組合が加算対象となる。

特定保健指導の実施率をもとにした加算対象基準は、3~4年度(2~3年度実績)が単一健保10%未満、総合健保5%未満の組合に実施率に応じた加算率が適用される。5年度(4年度実績)は、元年度実績をもとに3年度中に加算対象基準の上限を設定する。

また、加算対象保険者のうち実施率が一定以上の保険者については、総合評価項目のなかで一定以上の取り組みが実施されている場合、加算対象としない、加算除外の制度を適用する。

3~5年度の減算基準

3~5年度の減算の基準については、減算を評価する総合評価指標のなかで、大項目1~6を見直した。

具体的には、減算の要件について、大項目1~7の各大項目で設定されている重点項目を、大項目2については2つ、その他の大項目では1つ以上達成することが必要となり、最終的に総合評価指標の総合点数により保険者の順位が決まり、減算対象が決定する。

総合評価指標の主な変更点として、大項目1では、これまで減算要件で達成のハードルが高かった特定保健指導の実施率の基準を緩和することとした。

また、今後減算率の段階設定について、現行制度では、健保組合(単一、総合)、共済組合と保険者種別ごとに3区分(上位、中位、下位)に分け、得点調整を行っているが、3年度以降は保険者種別関係なく一体で運用し、減算率を5区分に細分化して評価する。

制度運用の見直しでは、現行は減算保険者のみ点数を公表しているが、よりインセンティブを働かせる観点から、3年度以降は全保険者の点数を公表する。

新型コロナの影響への対応

後期支援金加算・減算における、新型コロナウイルス感染症への対応として、元年度の実績について、特定健診の場合、1か月間(3月)実施できなかったものとし、過去3年度において3月実施分が通年に占める割合をもとに、保険者ごとに実施率を補正する。特定保健指導については、平成30年度実績において3~5月に開始した保健指導が通年に占める割合をもとに実施率を補正する。

その他の保健事業については、令和2年度3月に実施予定であった事業を中止した場合、保険者の申し出により個別に判断することとした。

2年度実績については、特定健診・保健指導について、加算のみ2年度支援金(元年度実績)の加算対象を用いる。また、特定保健指導については今後、遠隔による初回面談のグループ実施を可能とするなどの実施方法の緩和を検討する。

その他の保健事業については、原則として考慮しないこととするが、4~5月に実施できず、それ以外の期間に実施することが困難な理由がある場合は個別に判断する。

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