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健保ニュース 2020年12月上旬号

財政審が今後の財政運営で建議
受益と負担の不均衡を是正
後期高齢2割負担 可能な限り広範囲で導入

財務省の財政制度等審議会(榊原定征会長)は11月25日、政府の令和3年度予算編成等に関する建議をとりまとめ、麻生太郎財務相に提出した。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止と経済回復、財政健全化という三兎を追う財政運営のあり方が問われているなか、「財政悪化の最大要因は社会保障給付における受益(給付)と負担のアンバランスである」と問題提起。

2022年度には、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に移行し始め、社会保障関係費の急増が見込まれると指摘し、2021年度までの新経済・財政再生計画における基盤強化期間に受益と負担のアンバランスを正していくことは、引き続き待ったなしの課題であるとした。

社会保障制度の持続可能性を高め、将来に負担を感じている現役世代への負担のしわ寄せを避けることが家計の消費の促進にもつながるとの観点から、全世代型社会保障改革への取り組みが重要であると強調。

少子化対策を効果的・効率的に進めるとともに、「改革工程表」で示された社会保障制度改革をはじめ、これまでの歳出改革の取り組みを着実に継続することを令和3年度予算編成における課題に位置づけた。

社会保障分野では、制度の持続可能性を確保するための改革が急務とし、社会保障関係費の実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びに収めるとの歳出規律に沿った予算を編成することはもとより、給付のあり方を見直す制度改革が必要と訴えた。

年末に決着を図る後期高齢者の自己負担については、現役世代の拠出金負担を軽減するため、可能な限り広範囲で2割負担を導入するとともに、遅くとも団塊の世代が75歳以上の高齢者となる2022年度初めまでに改革を実施できるよう、施行時期を定めることを提言。

合わせて、紹介状がない患者における大病院受診時の定額負担の拡充は、機能分化の実効性が上がるよう、対象病院の拡大や定額負担の増額を図るとともに、明確な形で医療保険財政への寄与となるような制度的対応を求めた。

長期収載品の算定ルール
薬価の段階引下げを加速

令和3年度の毎年薬価改定に向けては、「市場実勢価格を適時に薬価に反映することが国民負担抑制の観点から極めて重要である」との認識を示し、国民負担の軽減や国民皆保険の持続性の観点から、全品改定の実施など、初年度に相応しい改定を実現する必要があるとした。

薬価と市場実勢価格の乖離に着目して対象範囲を決定する場合は、乖離率や品目数のみでなく、「乖離額に着目すべき」とし、薬価の水準が高く乖離率としては相対的に小さくなりがちな先発医薬品も幅広く対象に含めるべきと提言。

さらに、市場実勢価格の過重平均値に対して上乗せを行っている「調整幅」についても、約20年間見直しがされていない「2%」の水準の合理的なエビデンスを含め、あり方を見直すべきと強調した。

また、2年に1度の薬価改定時に一定程度の引き下げを行っているG1、G2、Z2など長期収載品の薬価引き下げルールは、毎年薬価改定の開始を踏まえ、薬価の段階的引き下げを加速化するなど、さらなる見直しを行う必要があるとした。

後発医薬品のさらなる使用促進に向けては、医療機関などが医学的妥当性や経済性を踏まえ作成する医薬品の使用方針である「フォーミュラリ」について、国がガイドラインの策定に取り組むなかで後発品の選定基準を設ける検討を行うべきとした。

令和3年度介護報酬改定
プラス改定の環境にない

令和3年度の介護報酬改定については、「プラス改定は、高齢化等の要因で毎年伸びている介護費用をさらに増加させ、これを賄う保険料負担と利用者負担のさらなる増加につながるものである」と指摘し、「プラス改定はもとより慎重を期すべきものである」との考えを示した。

国民にさらなる負担増を生じさせる環境にはなく、全体の改定率では国民負担を抑制しつつ、ICTの推進などによる運営の効率化、エビデンスにもとづく報酬体系のメリハリ付け等の推進を求めた。

このほか、社会保険制度には、妊娠・出産、子育てに関する現金給付がかねてから存在していると問題提起し、医療保険制度を含め、保険料財源による少子化対策への拠出を拡充するという考え方も、将来的課題として検討する余地があるとした。

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