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健保ニュース 2020年7月中旬号

政府が骨太方針2020の原案
社会保障施策等 年内に実行計画を策定
毎年薬価調査・改定は明記せず

政府は8日の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で、「経済財政運営と改革の基本方針2020(骨太方針2020)」の原案を示した。

原案は、「新たな日常」の実現に向けたデジタル化の加速や社会保障の構築に関する主な施策項目について、年内に実行計画を策定し実行に移す方針を盛り込んだ。一方、新型コロナウイルス感染拡大の影響で実施の可否が論点となっている毎年薬価調査・改定に関する具体的な対応は明記されなかった。

「骨太方針2020」は、政府として新型コロナウイルス感染症への対応が喫緊の課題であることから、記載内容のスリム化を図り、今後の政策対応の大きな方向性に重点を置いた。

今回、記載されなかった項目についても、「骨太方針2019」に記載されている項目は、引き続き着実に実施することとした。

「新たな日常」の実現に向けた方向性として、▽デジタル化の加速▽地域の社会づくり▽人への投資の強化▽包摂的な社会の実現▽活力ある日本経済の実現─を5つの柱とし、主な施策項目はポストコロナ時代を見据え、年内に実行計画を策定し実行に移す方針を示した。

一方、感染症拡大を踏まえた経済・財政一体改革の推進に向けては、「経済再生なくして財政健全化なし」との基本方針のもと、2022年から団塊の世代が75歳になり始めることを踏まえ、「骨太方針2018・2019」にもとづき、2020年末までに改めて工程の具体化を図る。

社会保障については、柔軟で強靭な医療提供体制の構築やデジタル化・オンライン化を実現するほか、団塊の世代が75歳以上に入り始める2022年までに社会保障制度の基盤強化を進め、世界に誇る国民皆保険をより持続可能なものとし、次世代に継承するとした。

5つの柱のうち、「デジタル化の加速」は、オンライン診療について、電子処方箋、オンライン服薬指導、薬剤配送により、診察から薬剤の受取までをオンラインで完結する仕組みを構築することを施策項目に掲げた。

「包摂的な社会の実現」は、「骨太方針2018・2019」の内容に沿って、社会保障制度の基盤強化を着実に進めることにより、人生100年時代に対応した社会保障制度を構築する方針を明記。

具体的には、▽都道府県間を超えた病床や医療機器の利用、医療関係者の配置などを厚生労働相が調整する仕組みの構築▽かかりつけ機能のあり方を踏まえながら、かかりつけ医・歯科医・薬剤師の普及を推進▽保険者のデータヘルス計画の標準化などの取組を推進▽電子処方箋について2022年夏を目途に運用を開始▽一般用医薬品の普及などによるセルフメディケーションの推進─などの施策を盛り込んだ。

安倍首相は、「この数年間で思い切った社会変革を実行していくか否かがわが国の未来を左右するとの切迫した危機感にもとづいた原案となっている」と言及し、日本の未来に向けた経済社会の姿として新たな日常の確立を通じた質の高い経済社会の実現をめざすと強調した。

西村康稔経済財政政策担当相は、「骨太方針2020」について、「本日議論した内容と与党調整を踏まえ、次回の経済財政諮問会議で取りまとめたい」との考えを示した。

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