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健保ニュース 2020年2月上旬号

中医協が静岡で公聴会
国民と患者目線で改定を
静岡県自動車販売健康保険組合 河西常務理事が意見陳述

中医協は1月24日、令和2年度診療報酬改定に向けた公聴会を静岡県富士市で開いた。静岡県自動車販売健保組合の河西徹也常務理事は、限られた医療財源を効果的に配分する観点から「診療報酬全般にわたって適正化・効率化・重点化を図っていくべき」と述べ、国民と患者の目線から、医療機能や患者の状態に応じた急性期入院医療の評価を追求するとともに、かかりつけ医を患者が納得して選択できる仕組みの必要性を指摘した。

公聴会では、公募で選ばれた地元の医療関係者、保険者、被保険者や患者の代表など10名が意見を発表した。

河西常務理事は、健保組合の現状について、「赤字組合は全健保組合の6割を超え、さらに県内では約8割が経常赤字で、全体以上に厳しい状況に置かれている」と説明した。今後は団塊世代が後期高齢者になり始めて医療費が急増する一方、支え手である現役世代の人口が急減し、「健保組合の運営は危機的状況に陥ることが目に見えている」と訴えた。

こうした状況のなかで診療報酬本体の改定率がプラスになったことについて、「非常に残念」と述べたうえで、中医協による具体的な点数設定の議論に向け、入院と外来それぞれについて、国民・患者の目線で重視すべき課題をあげた。

入院については、医療費の増大や急速な高齢化の進展による疾病構造の変化を踏まえ、「真に急性期入院医療の患者として相応しい指標に見直すとともに、重症度、医療・看護必要度の該当患者割合を厳格化することで、他の病床へと転換を図るべき」と主張した。

外来については、患者が理解し受けられる医療の実現に向け、患者がかかりつけ医を選ぶにあたり、かかりつけ医機能を持つ医療機関で機能の重要性や患者のメリットなどを文書により説明することが、「患者にとって最もかかりつけ医の大切さを理解し、信頼が増す」と強調した。

難病を抱える患者の代表者は、治療と仕事を両立する観点から、オンライン診療の推進や、オンライン診療によるかかりつけ医と専門医との連携強化を求める意見があがった。

労働組合や中小企業の経営者の代表者は働き方改革の推進に関して、負担軽減に取り組む医療機関や、勤務環境改善に向けた計画にもとづいて一定の成果があった医療機関に評価を絞るよう求めた。

病院勤務医の立場からは、働き方改革に関連した問題点として、タスクシフトによる医師事務補助者や特定行為研修看護師への負担増や、労働者人口の減少による医師や看護師、事務職員などの常勤職員の確保が難しくなることをあげ、施設基準や常勤職員などの業務制限の緩和を要請した。また、救急医療を担う病院への評価について、救急搬送実績が多い病院だけでなく救急搬送実績が少ない中小規模の病院も対象とするよう求めた。

診療所を開業する医師は、多くの診療所が各診療科の専門医としてかかりつけ医機能を発揮していると説明し、機能強化加算や地域包括診療加算の要件について、「一部の診療科、診療所以外ではハードルが高い」と述べ、要件見直しを要望した。

このほか歯科医師の代表者は長期的な管理や感染対策への評価、薬局を営む薬剤師は分割調剤の簡素化や後発医薬品のさらなる評価をあげた。

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