HOME > けんぽれんの刊行物 > 健保ニュース > 健保ニュース 2019年12月中旬号

健保ニュース 2019年12月中旬号

厚労省が市場価格調査の速報値を公表
公定価と乖離は薬8.0%、材料5.8%

厚生労働省は4日、医薬品と特定保険医療材料の市場実勢価格に関する調査の速報値を、中央社会保険医療協議会に提出した。公定価格との平均乖離率は薬価が約8.0%、医療材料価格が約5.8%で、これにもとづいて来年4月に公定価格を引き下げる。国庫負担への影響を機械的に計算すると、今年10月の消費増税に伴う臨時改定で対応した効果の通年化を含め、1000億円程度の減少と見込まれる。

薬価と材料価格の改定は、医療機関や薬局が販売事業者から購入した市場価格を品目ごとに加重平均し、公定価格との乖離を埋めることが基本となる。ただ、加重平均値をそのまま公定価格にすると、取引形態や流通事情によって余計に費用がかかる場合に供給が滞りかねないため、安定供給を確保する措置として「調整幅」を加重平均値に乗せた額を新しい公定価格にする「加重平均値一定幅方式」がとられている。この調整幅はしばらく薬価が2%、材料価格が4%で続いている。

調査結果によると、公定価格と市場価格の乖離率は、内用薬が平均9.2%で最も大きく、とくに高脂血症用剤や血圧降下剤などの生活習慣病領域と、消化性潰瘍用剤、精神神経用剤が目立った。注射薬は平均6.0%、外用薬は平均7.7%となった。歯科用薬剤は市場価格が公定価格を上回る〝逆ザヤ〟が引き続きみられ、とくに歯科用局所麻酔剤が▲8.4%と著しく、特例的に薬価を引き上げる「不採算品再算定」を一部に適用する見通し。

消費増税改定のために昨年実施した調査の平均乖離率は、医薬品が7.2%、医療材料が4.2%で、そこから今回まで1年間に医薬品は平均0.8ポイント、医療材料は平均1.6ポイントの拡大にとどまった。これは、平成30年度改定から約半年間に市場取引で値引きが急激に進んだことを意味する。

薬価改定には特許期間中の薬価引き下げ緩和や市場拡大品の再算定など、政策的な措置があるが、これらを除いた市場実勢価格にもとづく次期の薬価改定率は、単純計算で乖離率8%から10月の消費増税改定で対応した4.3%を差し引き、さらに調整幅2%考慮した1.7%程度が想定される。政府の来年度予算概算要求で医療費国庫負担が11兆8599億円とされ、医療費の薬剤費比率が2割強であることから、国庫ベースで約400億円の財政効果があると考えられる。さらに消費増税改定における市場実勢価格対応分が約500億円と公表されていることを踏まえると、通年度化で同等以上の影響が見込まれ、合計で1000億円規模の財源を捻出できそうだ。

談合疑惑品は集計対象外

厚生労働省は、地域医療推進機構への医薬品納入額をめぐる大手卸売事業者による談合疑惑を受け、同機構の傘下47施設と卸4社による取引分を薬価調査の集計から除外した。

中医協で健保連の幸野庄司理事は、「(談合が)事実であれば、公定価格の基礎となる市場実勢価格が恣意的に操作されているものであり、国民への背信行為で決して許されない。一部の取引とは言え、国民の医薬品流通の信頼性が完全に損なわれる事態」と指摘した。厚労省に対しては、国民の信頼を取り戻すために、再発防止策を中医協に報告するよう要請した。

けんぽれんの刊行物
KENPOREN Publication

2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年

健康保険組合連合会

Copyright(c)2015 KENPOREN. National Federation of Health Insurance Societies. All rights reserved.