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健保ニュース 2019年11月上旬号

健保連、経済団体が自民党100年本部で意見
後期高齢者 自己負担2割を主張
出席議員から支持する発言も

健保連は10月24日、全世代型社会保障の構築を検討中の自民党「人生100年時代戦略本部」(本部長・岸田文雄政調会長)に出席し、医療保険制度改革に向けて、後期高齢者の自己負担を原則2割とすることや、現役並み所得の後期高齢者の給付財源に公費5割投入、保険給付の適正化などを要請した。この日のヒアリングの会合には、日本経済団体連合会、経済同友会、日本商工会議所の経済3団体も出席し、いずれも後期高齢者の2割負担の必要性を訴えた。

各団体ともに少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少のもと、高齢者医療を支えるための現役世代の負担が過重になっていることを指摘し、給付と負担の見直しを制度改革の主要論点とした。

健保連からは佐野雅宏副会長と河本滋史常務理事が出席した。佐野副会長は、団塊の世代が後期高齢者に入り始めて高齢者医療拠出金負担が急増する「2022年危機」の到来を指摘。健保組合の義務的経費に占める拠出金割合は22年度に約50%を占め、医療、介護、年金を合わせた保険料率が30%を超えるなど現役世代の負担増大に危機感を示し、22年危機を乗り越える改革の必要性を強調した。

このため、後期高齢者の自己負担については、低所得者に配慮しつつ、75歳に到達した者から順次2割負担とすることを提案した。

現役並み所得の後期高齢者については、医療給付費に公費が投入されていない現行の財源構成を見直し、公費5割を投入すべきと主張した。現在は現役並み所得者の給付費について、後期高齢者自身の保険料を除く全額を後期高齢者支援金で賄っており、このうち現役世代が負担している公費5割相当額は約4500億円にのぼる。現行制度のまま現役並み所得者の範囲を拡大すると、後期高齢者医療費に占める公費の割合が低下する一方で、現役世代の負担が一層増大するといった不合理を問題視した。

経済3団体は、後期高齢者の2割負担のほか、患者が外来受診した際の自己負担に「ワンコイン」を上乗せする受診時定額負担の導入を提案した。健保連は後期高齢者の2割負担が最優先課題だとしたうえで、定額負担の導入を検討課題にあげた。保険給付範囲の見直しでは、健保連も含めて市販品類似薬の給付のあり方を論点とした。経済同友会は外来での薬剤の自己負担を一律3割とすることを提起した。

現役並みに公費投入
健保連の主張に理解

会合に出席した議員からは、後期高齢者の自己負担引き上げについて、2割導入を支持する意見が複数あったほか、高齢者の生活に与える影響を考える必要があるなど慎重な意見もあった。

そのなかで、患者負担割合の設定については、年齢が高くなるに応じて1人当たり医療費が増えるとともに、75歳から要介護認定率も急増する傾向を踏まえ、高齢者の負担を現役世代よりも低くしている現行の仕組みを説明し、影響を政府内で検証する必要があると指摘。そのうえで、受益者負担とする考え方にも限界があるとして、フランスで取り入れている仕組み(拠出方式)も一例にあげ、高齢者医療を社会で支えるための財源調達の手法について、関係者からの積極的な提案を求めたいとする意見もあった。

現役並み所得の後期高齢者の財源構成では、現役並み所得者が増えると現役世代の負担が増大することを「現行制度の大きな矛盾」と捉え、4500億円の財源確保を課題としつつも、健保連が主張する公費5割投入に理解を示す発言が複数あった。

経済団体が主張する受診時定額負担の導入については、▽受診抑制を招き、症状が悪化してから受診することで、かえって医療費が増大する▽将来にわたり7割給付率を維持すると規定する健保法附則に抵触する─など反対の意見が多かった。

このほか、経済団体に対して、現役世代の社会保険料負担を緩和する観点から、従業員の賃金アップの努力を強く求め、企業の内部留保を取り崩しなどの活用を求める意見も出された。

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