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健保ニュース 2019年9月中旬号

平成29年所得再分配調査
社会保障・税
格差改善度は33.5%

厚生労働省は6日、所得再分配の状況をジニ係数などで把握する「平成29年所得再分配調査」の結果を公表した。

それによると、年金・医療などの社会保障給付や税を通じた所得再分配によって、所得格差を表す指標のジニ係数が33.5%改善した。前回26年調査の34.1%から0.6ポイント低下したが、厚労省は再分配前の当初所得の格差が縮小したことで、再分配効果が前回よりも若干低めになったと分析。社会保障を中心とする再分配所得のジニ係数が横ばいに抑えられている傾向を踏まえ、「再分配機能に一定の効果がある」と総括した。

ジニ係数は0~1の間の値で表し、0に近いほど所得格差が小さく、1に近いほど大きい。
29年調査では、社会保障給付を含まない当初所得(世帯単位)のジニ係数は0.5594。経済好転で中間所得層が増えたことから、前回調査に比べ0.011ポイント低下し、当初所得の格差が縮小した。

当初所得から税金と社会保険料を控除し、社会保障給付を含めた再分配後の所得のジニ係数は、前回調査に比べ0.0038ポイント低下し、0.3721となり、当初所得の格差が33.5%改善された。

所得再分配の状況を1世帯当たりの金額ベースでみると、平均当初所得429.2万円に対し、社会保険料負担が58.0万円(当初所得の13.5%)、所得税や住民税などの税負担が53.5万円(同12.5%)。当初所得から税金と社会保険料を差し引き、社会保障給付を加えた再分配後の所得は499.9万円で、このうち年金・恩給108.4万円(同25.3%)、医療51.4万円(同12.0%)などの社会保障給付が182.3万円(同42.5%)を占める。

高齢者世帯の平均当初所得は100.4万円だが、再分配所得は365.4万円に拡大する。ジニ係数は当初所得0.7828から再分配所得0.3688に低下し、52.9%の改善度となっている。

所得再分配調査は、社会保障や税制による所得再分配の実態把握を目的に、概ね3年ごとに実施。29年は8645世帯を対象に、28年中の所得、税、社会保険料の状況を調査した。回答率は51.1%だった。

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