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健保ニュース 2019年9月上旬号

日本健康会議が宣言の進捗を発表
6目標達成 コラボヘルスは818法人
健康宣言が3万社超える

保険者や医療関係団体など民間主導で健康づくりを推進する日本健康会議が8月23日に開かれ、会議発足時に採択した「健康なまち・職場づくり宣言2020」について、令和元年度の進捗状況を報告した。平成28年度から5年間で達成をめざす8つの宣言のうち、6つを達成した。

健保組合など保険者と連携して健康経営に取り組む企業は、30年度に目標の500社を達成してからさらに増え、818法人となった。健康経営優良法人に認定された大規模法人が健康経営に取り組む企業に該当し、30年度の539法人から279法人増えた。

協会けんぽや商工会議所などのサポートを得て健康宣言に取り組む企業は、目標の3万社以上を達成し、3万5196社となった。健康宣言をする企業は、1万社以上とする目標を29年度に達成してから、30年度に2万社を超えたため、3万社以上に上方修正したが、今年度にこれを達成し、3年連続で目標を達成した。

情報通信技術(ICT)を活用して加入者に分かりやすい健康・医療情報を提供する宣言は、原則100%の保険者を目標とし、前年度から175保険者増えて2298保険者となった。

保険制度別の内訳は、引き続き協会けんぽと船員保険が目標を達成したほか、健保組合が前年度比23%増の704組合、共済組合が37%増の37組合、市町村国保が1%増の1428市町村、国保組合が40%増の49組合、広域連合が33%増の32団体とすべての保険制度が前年度を上回った。

後発医薬品の数量・金額シェアの把握や効果検証などを通じた後発薬の使用割合を高める取り組みについては、全保険者を目標とするなか、前年度に比べ207保険者増の815保険者が実施した。

保険制度別の内訳は、協会けんぽと船員保険が前年度に続き目標を達成したほか、健保組合が前年度比24%増の242組合、共済組合が10%増の45組合、市町村国保が48%増の440市町村、国保組合が138%増の19組合、広域連合が11%増の21団体となった。

個人の予防・健康づくりにポイントを付与するなどして行動変容を促すインセンティブ事業は、前年度比260自治体増の823市町村が実施し、目標の800市町村以上を達成した。

かかりつけ医と連携して糖尿病など生活習慣病の重症化予防に取り組む自治体は、前年度に比べて177自治体増の1180市町村、1団体増の32広域連合となった。これを踏まえ、当初は800市町村、24広域連合だった目標を1500市町村、47広域連合に上方修正した。

予防・健康づくりの企画・実施で複数の保険者から推薦を受けるなど一定の基準を満たすヘルスケア事業者は、前年度から21社増えて123社となり、2年連続で目標を達成した。

予防・健康づくりに向けた地域、職域の連携分野では、特定健診・保健指導の実施率の高い優良事例の共有や保険者横断的な医療費の調査分析、特定健診データの保険者間の移動などに全都道府県の保険者協議会が取り組んでおり、目標の47協議会を3年連続で達成した。

日本健康会議の共同代表を務める日本商工会議所の三村明夫会頭は、会議冒頭のあいさつで、「宣言の達成に向けて、経済界、医療関係団体、自治体、保険者がそれぞれの立場や利害を超えて連携し、健康経営、健康宣言、コラボヘルスなどの取り組みを全国各地で活発に展開している。すべての宣言において活動が順調に進捗している」と評価した。

今後の方針について、「現役世代の人口が減少しているなかで、社会保障の持続可能性を維持するためには、社会の活力の基盤となる健康寿命の延伸にこれまで以上にしっかりと取り組んでいく必要がある。日本健康会議はこうした流れを先導し、各界の機運をさらに高めたいと考えている」と述べたうえで、8つの宣言の「実質的な結果、成果にこだわった活動を推進していく」との考えを示した。

河本常務理事が現状報告
健康経営、健保組合と連携推進
生活習慣改善に効果

健保連の河本滋史常務理事は、日本健康会議の「健康なまち・職場づくり宣言2020」を踏まえた健保組合の活動状況を報告した。保険者と連携した健康経営の取り組みに関連して、健保組合の健診結果や生活習慣状況の分析結果を示し、コラボヘルスを実施している組合の方が良好な傾向にあることを説明した。

生活習慣では、コラボヘルス実施組合とその他の組合における喫煙、運動習慣の平成27~29年の経年変化を取り上げた。それによると、実施組合の喫煙率は、27年の31.0%が29年に28.1%と2.9ポイント減少。その他の組合は33.2%から32.0%と1.2ポイントの減少で、その他の組合に比べ実施組合の喫煙率の減少幅が大きかった。

運動習慣を持つ加入者の割合は、実施組合が20.5%から21.9%と1.4ポイント増加した一方、その他の組合は20.7%から20.6%と0.1ポイント減となっている。

メタボリックシンドロームの該当率もその他の組合は15.3%から15.9%に増加した一方、実施組合は14%から13.6%に減少し、これらのデータを踏まえ、「コラボヘルスの要素は、数値的にもデータヘルスに好影響を与えている」と指摘した。

これらの分析は、健保組合のデータヘルス・ポータルサイトに収録されているデータを活用したもので、将来的には同じデータで保険者の枠を超えた多角的な比較検証が実施されることに期待した。

コラボヘルスの一層の推進に向けては、経済産業省の健康投資ワーキンググループで議論されている、コラボヘルスとコラボヘルスの連携を図る共同事業体「コラボ・コラボヘルス」に期待し、鹿児島県に所在する健保組合の事例を紹介した。

同県の健保組合は、同業態の単一2組合・総合1組合の3組合で、「いずれも社員、家族の健康を健保組合と事業所が一緒に守るという意識が根づいている」と評価。健保連鹿児島連合会では、健保組合と事業所の連携機運の高さを生かして、事業所の参加も前提とする年2回の定期的な健康セミナーを開催するなどの事業を展開している。こうした取り組みにより、「課題や意識を共有するとともに、さらに他の健保組合、他の事業所との横のつながりも醸成され、好事例やノウハウ、データの共有もスムーズに行われている」と述べた。

同県の健保組合の特徴のひとつとして、特定健診・保健指導の実施率が被扶養者も含めて高い点をあげ、29年度特定健診受診率が被保険者97.7%、被扶養者86.7%、特定保健指導実施率が同58.3%、同56.7%となっている。

そのうえで、「コラボヘルスについては、個別具体的な事業を連携するという視点も重要だが、その前提として、共通意識を持つことが改めて必要であると実感できる」と強調し、健保連としてもこうした前提に立ち返るとともに、ポータルサイトを活用した集計を今後も継続し、健康経営、コラボへスの推進に取り組んでいく考えを強調した。

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