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健保ニュース 2019年9月上旬号

中医協総会が了承
肺がん治療薬を11月に値下げ
難病薬が費用対効果評価品に選定

中央社会保険医療協議会(田辺国昭会長)は8月28日、抗がん剤「ダグリッソ(成分名:オシメルチニブ)」について、販売額が予想を大幅に超えたとして、四半期ごとの再算定を適用し、薬価を11月に引き下げると決めた。

ダグリッソは特定の遺伝子変異のある非小細胞肺がんの治療薬として平成28年5月に保険適用された。別の薬剤が効かない場合だけしか使えなかったためにピーク時販売額を年間135億円と見込んでいたが、昨年8月に最初から使えるように対象範囲が広がった。

厚生労働省がレセプト情報から推計したところ、年間販売額が350億円超で予測の2倍超という市場拡大再算定の要件に該当した。作用が似た薬剤を一緒に値下げする規定があり、今回は4種類の類似薬が存在するが、市場で競合が乏しいと判断し、ダグリッソに単独適用する。

医療機関や薬局の在庫への影響を考慮して猶予期間を設ける。現行薬価は80㎎錠で2万3932.6円だが、10月の消費増税に伴う薬価改定で2万4375.8円に引き上げたうえで、ここから制度上で最大の15%引き下げて2万719.4円にする。

このほか中医協は、新薬12種類と新再生医療等製品1種類の9月4日付け保険適用を了承した。

新薬のうち、発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬「ユルトミリス(同:ラブリズマブ)」と慢性閉塞性肺疾患治療薬「ビレーズトリエアロスフィア(同:ブデソニド/グリコピロニウム/ホルモテロール)の2種類を、費用対効果評価の対象に選定した。

ユルトミリスは有用性加算が上乗せされてバイアル1瓶71万7605円の薬価が付いた。指定難病の治療薬で通常より費用対効果評価の対象基準が緩いが、8週間に1回ごと10瓶程度を点滴するため、薬剤費は1日平均13万3587円と高く、10年後までの販売額予測は最大331億円にとどまるものの、それ以降に市場規模が目安とされる350億円以上に拡大する見通しで、費用対効果評価を適用することにした。ビレーズトリエアロスフィアは、類似品が費用対効果評価の対象品であることから、選定された。

他の新薬では、革新的な核酸医薬品「オンパットロ(同パチシラン)」に大幅な有用性加算を認め、1瓶98万6097円の高薬価を付け、ピーク時販売額を89億円と見込んだ。遺伝的に変異したタンパク質が多臓器障害を引き起こす指定難病で、予測市場規模が目安には及ばず、費用対効果評価の対象にならなかった。

遺伝子治療が初登場

新しい再生医療等製品は、大阪のバイオベンチャーが開発した純国産品で、日本初の遺伝子治療薬「コラテジェン(同:ベペルミノゲンペルプラスミド)」だ。原価計算方式で薬価を1瓶60万360円とした。

潰瘍による血行障害で組織が壊死する慢性動脈性閉塞症に対し、既存治療の効果が不十分で血行再建術が困難な場合に使用する。細胞増殖を促す遺伝子を送り込んで血管を正常に戻す。患者から採取した組織を培養する再生医療等製品に比べ、製造経費がかからない。4週間間隔で2回にわって筋肉注射し、改善しない場合は3回目まで投与できる。ピーク時の市場規模は、対象患者992人で販売額12億円になる見通し。

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