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健保ニュース 2019年6月中旬号

規制改革推進会議が第5次答申
医療データ利活用を促進
支払基金改革の実現へ工程を明示

政府の規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大学教授)は6日、現行組織として最後となる第5次答申を、安倍晋三首相に提出した。医療関連データの利活用に向けた環境整備や、社会保険診療報酬支払基金改革の着実な実施などを提言した。政府の規制改革実施計画に反映される。

提言は、党厚生労働部会(小泉進次郎部会長)の全世代型社会保障改革ビジョン検討プロジェクトチーム(鴨下一郎座長)が4月にまとめた政策を土台としたもの。

医療関連データの利活用をめぐっては、同会議が5月に取りまとめた意見書の内容を答申に盛り込んだ。

まず、個人が自分の健診情報を健康管理に役立てられるよう、民間サービス事業者を含めて契約で明確にしておくべき事項を来年度上期までにガイドラインで定める。マイナポータルを通じたPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)サービスに最低限必要な標準規格も、来年度上期までに公表する。そのほかの情報に関する標準規格は、すでに確立されているレセプトを除いて、今年度中に結論を出す。

そのうえで、電子的な医療情報にもとづく最適な医療サービスを実現するために、今後の個人情報保護法制も見据え、包括的な環境整備に向けた対応を、今年度から来年度にかけて検討する。

地域医療連携ネットワークを普及させる観点からは、複数の施設間で情報共有するための患者同意について、医療機関に負担のかからない方法を今年度に検討する。

高齢者医療確保法の改正によってNDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)の利用が民間に開放されるため、NDBデータの提供に関する審査基準や手数料などを、来年度上期までにガイドラインで示す。

払基金改革については、▽レセプト事務点検業務の集約に関する具体的な工程▽審査結果の不合理な支部間差異解消とコンピュータチェックルール公開の実績・効果▽審査支払機能の効率化の具体的な方針・対象事業・工程─を明らかにするよう求めた。このうち、事務点検業務の集約工程と支部間差異解消などの実績・効果は今年度中に公表し、審査支払機能の効率化策は今年度に中間報告し、来年度に結論を示すこととした。

このほか同会議は今期、重点フォローアップ事項としてオンライン医療を取り上げ、オンライン診療の平成30年度制度化に続き、オンライン服薬指導の実現をめざした。医薬品医療機器等法の改正案が今国会に提出されたことを踏まえ、法改正後に検討される詳細なルールに注視する考えを今回の答申で改めて示した。

さらに、電子処方せんの完全実施に向け、ガイドラインの改正が今年度下期に予定されていることにも言及し、「今後もオンライン診療、オンライン服薬指導の普及促進に向け実施状況をフォローアップしていく」とした。

保険外併用療養費制度の新しい枠組みである患者申出療養の普及や、介護保険の保険内外サービスの柔軟な組み合わせの実現についても、引き続き動向を把握する。

大田議長は6日の記者会見で、3年前に改組して以降の医療・介護分野における取り組みを、「サービス改革として保険診療と保険外診療の組み合わせと、オンライン診療・オンライン服薬指導に道筋を付け、あわせて長年の懸案であった支払基金の改革を行った」と振り返った。

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