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健保ニュース 2019年6月中旬号

政府が成長戦略実行計画素案
被用者保険の適用拡大を推進
疾病予防 保険者インセンティブを強化

政府は5日の未来投資会議(議長・安倍晋三首相)で、新たな成長戦略実行計画の素案を提示した。成長戦略の基本的な考え方のなかで、短時間労働者への年金などの保障を厚くする観点から、被用者保険の適用拡大を推進する方針を示した。背景として、終身雇用や年功序列の日本型雇用慣行を社会の変化に応じてモデルチェンジし、多様な採用や働き方を促すと指摘。多様な働き方の拡大に対応するため、「勤労者皆社会保険の実現をめざして、被用者保険の短時間労働者等に対する適用拡大を進める必要がある」としている。

被用者保険の適用拡大は、報酬比例分が支給される厚生年金の受給対象者を拡大し、将来の無年金・低年金の防止を主眼とする施策だが、厚生年金と同じ適用要件の健康保険制度も連動して影響を受け、被扶養者から本人、また国保から健保への移行などが生じる。

ただ、公的医療保険制度は、▽健保への移行に伴い傷病手当金など現金給付が保障されるが、保険者間で現物給付の内容に格差はない▽被扶養者から本人への移行で保険料負担が発生する▽給付増など健保組合財政に影響を及ぼす─など負担と給付の仕組みが年金制度と異なる。

現在、健保連も委員として参画する厚生労働省の「働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」で、被用者保険の適用拡大をめぐり議論しているが、健保連は厚生年金に比べて適用拡大のメリットが希薄な健康保険を含めて一括して取り扱うことに疑問、難色を示している。

実行計画素案は、「全世代型社会保障への改革」を成長戦略の柱のひとつに掲げ、▽70歳までの就業機会の確保▽中途採用・経験者採用の促進▽疾病・介護予防─を主要施策とした。

疾病予防では、地域や職域の保険者の役割が重要として、保険者の予防・健康インセンティブを強化する考えを示した。

健保組合へのインセンティブ強化は、特定健診・保健指導の実施状況などに応じて後期高齢者支援金を加算・減算する制度について、予定どおり加減算率の幅を来年度に最大で10%に引き上げる方針を示した。合わせて、保健事業の効果などの分析を進め、令和3年度に支援金加減算の評価指標を見直し、成果指標の導入拡大や配分基準のメリハリを強化する方針だ。

国保へのインセンティブは、予防・健康づくりなどの取り組み状況に応じて市町村・都道府県に交付金を配分する保険者努力支援制度を抜本的に強化する。

健康経営に関しては、健保組合加入者の健康状態や医療費、予防・健康づくりへの取り組みを見える化する健康スコアリングレポートを活用し、健保組合と企業の協力によるコラボヘルスを促進する。

現在は保険者単位のレポートとなっているが、令和3年度から健保組合と国家公務員共済組合について事業主単位のレポートとする。また、企業の健康経営投資額を見える化して、健康経営が資本市場から適切に評価されるようにする。

70歳までの就業機会の確保については、定年廃止や70歳までの定年延長、継続雇用、他企業への再就職、起業支援などから選択することを企業の努力義務と規定する法案を来年の通常国会に提出する。これを第1段階の法整備と位置づけ、第2段階では、70歳までの就業機会確保措置を義務化する法改正を検討する。

高齢期の就労拡大に関連して、年金制度については、原則65歳の支給開始年齢を変えずに、60~70歳の間で選択できる現行の受給開始時期を70歳超に拡大する方向で見直す。在職老齢年金制度の見直しも検討し、被用者保険の適用拡大と合わせて、来年の通常国会に関連法案を提出する。

会議に出席した安倍首相は、全世代型社会保障への改革に向けて、70歳まで就業機会を確保するとともに、「生活習慣病などの疾病予防や介護予防を強化するため交付金制度の抜本的強化を図る」と決意を示した。

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