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健保ニュース 2019年6月上旬号

厚労省・安藤保険課長がシンポジウムで講演
コラボヘルスの取り組み強化を
スコアリングレポートの改善も言及

厚生労働省保険局の安藤公一保険課長は5月28日、都内で開かれた「健康と経営を考える会」主催のシンポジウムで講演し、健康寿命の延伸など今後の高齢化社会を見据えた改革を進めるうえで、データヘルスとコラボヘルスが非常に重要であるとの認識を示した。

安藤課長は、「すべての団塊世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年を目標に社会保障と税の一体改革を進めてきたが、今年10月の消費税率の引き上げと、その財源による政策が実施されることで一体改革は完結する」と指摘。今後は高齢化のピークとなる2040年が新たな目標になると述べた。

2025年まで高齢化が急速に進んだ後、2025年から2040年までは高齢化は落ち着くものの、生産年齢人口が急激に減少すると解説。そのため、2040年に向けた医療保険制度や年金制度の見直しと合わせて、現役世代の減少という新たな問題にどう対応していくかを今後の課題とした。対策としては、高齢者や女性の就労促進、効果的・効率的な医療介護サービスの提供などをあげるとともに、高齢者になっても元気に社会で活躍するため、健康寿命の延伸に取り組む必要があると強調した。

健保組合が取り組むデータヘルス計画については、健康寿命を延伸する観点から、さらに重要になると指摘したうえで、次のステップとしてデータヘルス計画の質を高めることが必要と語った。平成27年度から29年度までの第1期のデータヘルス計画を解析した結果、健康課題の把握までは行っているが、それに見合った適切な保健事業の実施までは至っていないと現状を分析。「データヘルス計画の目的は、限られた財源のなかで対象となる加入者のリスクに応じ効果的・効率的な保健事業を実施し、その結果を評価すること。そのため事業主と保険者とのコラボヘルスをどのように進めるかが重要となる」と話し、加入者全員に同じ事業を行うのではなく、加入者の健康状態を分析し、それに見合った保健事業を事業主と一体となって実施する必要性を訴えた。

さらに、これまでの保健事業は実施したかしないかのアウトプットの評価であったが、これからは実施後にどういう効果が表れたかというアウトカムの評価と、それを評価する指標の標準化が重要になるとの認識を示した。具体的な例として重症化予防をあげ、「保険医療機関や事業主との連携といった体制の部分、対象者への呼びかけ・働きかけといった過程の部分など網羅的に分析し、どういった内容で取り組めば効果的・効率的なのかというパターンを作り上げたい」と話し、コラボヘルスを軸にした保健事業の標準化を目指す考えを明らかにした。

昨年実施した健康スコアリングレポートに関するアンケート調査によると、コラボヘルスを実施する組合ほど特定健診・保健指導の実施率が高いという相関関係があり、コラボヘルス未実施の健保組合ほど要請文やレポートを通じた事業主への周知を求めている。安藤課長はこうした結果を踏まえ、同封する経営者向けの要請文について、健保組合の取り組み状況などに応じて、メッセージを書き分けて用意するほか、レポートの内容について、経年変化の表示や評価区分の細分化などの見直しを行う方向性を示した。「健康スコアリングレポートを通じ事業主と問題の共有化を深め、連携強化につなげてほしい」と語り、さらなるコラボヘルスの強化を求めた。

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