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健保ニュース 2019年5月下旬号

令和元年度の後期支援金等決定状況
健保組合負担は1%増、4.4兆円
介護納付金 総報酬割拡大で7%増

社会保険診療報酬支払基金は4月22日、厚生労働省が昨年度末に告示した高齢者医療拠出金や介護納付金関係などの係数、金額の確定値を踏まえ、令和元年度の①後期高齢者支援金②前期高齢者納付金③退職者医療療養給付費等拠出金④介護給付費・地域支援事業支援納付金─の徴収額決定状況を公表した。それぞれ元年度概算額に平成29年度精算額等が反映されて各医療保険者に賦課される。

健保組合の合計額は4兆3547億円で、前年度に比べ1.0%増加した。高齢化などに伴う後期高齢者支援金の増加や、総報酬割の拡大(2分の1→4分の3)などに伴う介護納付金の増加を見込む一方、前期高齢者納付金の減少、退職者給付拠出金の大幅減となった。

①後期高齢者支援金の合計額は6兆4680億円(概算額6兆7512億円、精算額等▲2831億円)で、前年度に比べ4.2%増加した。

後期支援金の賦課方式は、75歳以上の医療給付費から後期高齢者の保険料、公費を除いた費用を国保と被用者保険の加入者数に応じてそれぞれの持ち分を算出したうえで、被用者保険はその全額を総報酬割で案分する。

保険者別の後期支援金決定額は、▽健保組合1兆9750億円(概算額1兆9999億円、精算額等▲250億円)、前年度比4.3%増▽協会けんぽ2兆997億円(概算額2兆1361億円、精算額等▲364億円)、同7.6%増▽船員保険71億円(概算額73億円、精算額等▲3億円)、同3.0%増▽共済組合6292億円(概算額6464億円、精算額等▲172億円)、同4.4%増▽都道府県国保1兆5885億円(概算額1兆7859億円、精算額等▲1973億円)、同0.4%減▽国保組合1686億円(概算額1755億円、精算額等▲70億円)、同5.9%増─で都道府県国保を除き増加した。

②前期高齢者納付金の合計額は3兆4924億円(概算額3兆5742億円、精算額等▲818億円)で、前年度と比べ3.8%減少した。

前期納付金・交付金の仕組みは、保険者間の65~74歳の前期高齢者加入率の差に着目して財政調整するもので、実態として被用者保険が前期高齢者を多く抱える国保を財政支援する構造となっている。

元年度の前期高齢者の加入者数は前年度比1.0%減の1679万7056人、全国平均加入率は前年度と同水準の15.3%と見込んだ。健保組合は、前期高齢者数93万1905人、総加入者数2847万180人、前期高齢者加入率3.3%で、全国平均との差相当分を納付金として負担する。

一方、都道府県国保は、前期高齢者数1216万918人、総加入者数2896万991人、前期高齢者加入率42.0%で、全国平均との差相当分を交付金として受け入れる。元年度における都道府県国保への前期交付金決定額は、3兆4988億円(前年度比3.9%減)となった。

保険者別の前期納金決定額は、▽健保組合1兆4532億円(概算額1兆4941億円、精算額等▲410億円)、前年度比5.3%減▽協会けんぽ1兆5244億円(概算額1兆5139億円、精算額等105億円)、同0.1%減▽船員保険29億円(概算額33億円、精算額等▲4億円)、同7.5%減▽共済組合4487億円(概算額4996億円、精算額等▲509億円)、同11.0%減▽都道府県国保63億円(概算額56億円、精算額等6億円)、同6.0%減▽国保組合570億円(概算額577億円、精算額等▲6億円)、同1.6%増。

③退職者医療療養給付費等拠出金の合計額は16億円(概算額128億円、精算等▲112億円)で、前年度に比べ96.6%減少した。

前期高齢者への移行が進むなか、退職被保険者の新規適用がないことから、概算額は前年度比83.6%の大幅減となった。さらに、29年度精算で概算額規模の戻り分の影響を受けて減少額が拡大した。

健保組合は16億円(概算額60億円、精算等▲44億円)で、前年度比92.3%減となった。

④介護給付費・地域支援事業支援納付金の合計額は2兆9278億円(概算額3兆553億円、精算額等▲1275億円)で、前年度に比べ5.0%増加した。

健保組合の介護納付金は9249億円(概算額9304億円、精算額等▲55億円)で、前年度比7.1%増となった。このうち、介護納付金の係数誤りにより予算編成時から追加負担となる介護納付金の取り扱いについては、健保組合の実情に合わせて、納付猶予や予備費・準備金を弾力的に運用することとなっている。

被用者保険間の介護納付金の負担方式は、平成29年8月から2分の1総報酬割が導入され、30年度に2分の1総報酬割の満年度を経て、元年度に4分の3総報酬割に拡大。2年度からは全面総報酬割となる。

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