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健保ニュース 2019年5月下旬号

再生医療製剤「キムリア」を保険適用
薬価史上最高額3349万円

厚生労働省は22日、白血病治療用の再生医療製品「キムリア点滴静注」を3349万3407円で薬価基準に収載した。海外の4000万~6000万円には及ばないが、国内薬価としては過去最高額となった。中央社会保険医療協議会が15日に了承した。

免疫をつかさどるT細胞を患者本人の末梢血から取り出し、海外にあるメーカーの製造施設でキメラ抗原受容体(CAR)を発現させ、がん細胞などの表面にあるCD19抗原だけを攻撃するようにして、患者の体内に戻す「CAR-T療法」と呼ばれる国内初の製品。オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害薬は、がんの免疫逃避機構を無効化するが、キムリアは目的の標的に対する免疫を強化するのが特徴。あらかじめ工場で大量生産できず、経費がかさむ。

適応症は、再発か難治性のCD19陽性リンパ腫で、年間の国内患者数は216人、市場規模は72億円を見込む。

治療は1回で完結し、患者から末梢血を採取したり、製剤化した後で投与するための技術料は、診療報酬改定まで当面の間、自家造血幹細胞移植の技術料を準用する。

未知の副作用などの懸念から、ガイドラインで使用に必要な要件を設定し、レセプトの摘要欄には施設要件に該当することを記載するよう求める。対象医療機関は全国170施設程度とみられる。

既存薬と作用機序がまったく異なるため、開発、製造、流通に必要な経費を積み上げる「原価計算方式」で薬価算定した。中医協は有用性加算で35%、市場性加算10%の上乗せを認めたうえで、製造原価の開示度が低いことを考慮して加算を8割差し引いた。それでも著しく単価が高いと判断し、費用対効果評価の対象品目とする。

健保連の幸野庄司理事は、「製造総原価のかなりがブラックボックス。開示度が80%以上であれば薬価は4400万円位になるはず。それでも開示を拒否するのは企業戦略が働いていると考えざるを得ない」と不信感を示した。

グローバル企業は製造工程が複数の国にまたがり、原価が国内への移転価格として一括計上されがちで、薬価算定の技術的作業を担う専門家協議でも、妥当性を検証することが難しい。

このほか厚労省は22日付で、新薬11成分17品目を薬価収載した。このうち慢性閉塞性肺疾患用の新配合剤「テリルジー100エリプタ」が費用対効果評価の対象となる。テリルジーは既存薬に比べて治療成績が良く、利便性が高いため、10%の有効性加算が付いた。薬価は1日1回吸入の14回分で4000円程度と高くないが、患者数が40万人と多く、予測市場規模は最大236億円に達する。

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