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健保ニュース 2019年5月合併号

財務省が改革案を財政審に提示
外来機能分化を患者視点で誘導
75歳以上「できる限り速やか」に2割負担

財務省は4月23日、今後の社会保障改革案を財政制度等審議会の分科会に示した。外来医療の適切な機能分化を進めるために、紹介状のない患者が大病院を受診した場合の定額負担と、診療所・中小病院のかかりつけ機能を評価するために前回の診療報酬改定で創設した機能強化加算について、患者誘導の視点で見直す方向性を示した。

大病院受診時の定額負担は、現行だと選定療養として保険外で追加徴収するため、全額が病院の収入になり、患者が多く訪れる病院ほど有利になる。これに対して財務省は、「診療報酬への上乗せ収入とするのではなく保険財政の負担軽減になるよう診療報酬の中で定額負担を求めるなど、仕組みの見直しを行うべき」と指摘した。

大病院だけでなく、かかりつけ以外の医療機関や薬局にも定額負担を導入する。医療機関と薬局は、窓口で患者から徴収した定率負担と追加の定額負担を除いてレセプト請求する。保険給付は抑制される。

一方、かかりつけ機能に対する診療報酬の加算は、医療費が増加して患者の自己負担が重くなり、かかりつけ医以外へ患者を向かわせる可能性があるため、「かかりつけ機能を評価するためには包括払い形式が望ましい」とした。

加算を整理して、かかりつけ機能の有無にかかわらず診療報酬を同水準にしたうえで、かかりつけ以外を受診した患者に負担を追加することで、「かかりつけ医の方が患者負担が小さくなるとともに、病院の追加収入も生じないことから、より効率的なインセンティブを発揮(国民医療費も増加せず)」できると判断した。

このほか、負担の公平化をめぐっては、高齢化と人口減少を踏まえて「年齢でなく能力に応じた負担」を論点にあげ、後期高齢者の自己負担を「できる限り速やか」に原則2割とすべきとした。3割負担となる現役並み所得高齢医者の判定基準の見直しや、高齢者の負担能力に金融資産を考慮することも引き続き検討課題とした。

昨春に提案した保険給付率の自動調整は明示せず、「保険給付率(保険料・公費負担)と患者負担率のバランス等を定期的に見える化しつつ、診療報酬とともに保険料・公費負担、患者負担について総合的な対応を検討していくべき」との表現にとどめた。

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