健康コラム
離れて暮らす親のケア vol.161
介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。
百聞は一見にしかず、施設見学を!
親の要介護度が重くなると、在宅での介護が難しくなり高齢者施設への入居を検討することがあります。しかし、施設の探し方が分からず、困ってしまうことも。
Wさん(50代)の両親(80代)は実家で夫婦2人暮らし。母親が要介護4の父親の介護をしています。ホームヘルプサービスやデイサービスを利用していますが、このところ母親がWさんに「疲れた」と電話してくることが増えました。「母が倒れないよう、父の担当のケアマネさんに施設の紹介をお願いしたのですが、『ご家族で探してください』と言われました」とWさん。
在宅で過ごす高齢者を支えるケアマネジャーは、在宅介護についてはプロですが、必ずしも施設介護に詳しいとは限りません。なかには、施設を紹介してくれるケアマネジャーもいますが、あまり期待することはできません。
地域包括支援センターで相談すれば、紹介はしてくれなくても、その地域の施設情報を提供してもらえると思います。また、民間の紹介センターもあります。ただし、民間センターの多くは、契約が成立すると施設から報酬が支払われる仕組みなので、なかには、キックバックの大きい施設を紹介するところもあるかもしれません。
まずは、地域包括支援センターで、父親の様子を話し、相談してみましょう。そして、百聞は一見にしかず。電話でアポイントメントを取って見学してみることをお勧めします。続けて3施設ほど見ると、比較検討ができる上、先々でサービス内容や費用についての説明を受けられるので、理解が深まり、父親を入居させたい施設のイメージが見えてくるでしょう。可能なら、体験入居をすると本人との相性を確認することもできます。