健康コラム
賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.103
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
理事長 山口 育子
診療拒否!? 冷静な話し合いで判断して
相 談私(42歳・男性)は半年前にうつ病と診断され、精神科クリニックに通院しています。自立支援医療(精神通院医療)を受けるために自治体に診断書を提出しなくてはならず、医師に診断書を書いてもらいました。
診断書は封筒に入った状態で渡されたのですが、自治体に送る別の封筒に封書のまま入れるのはどうかと思い、開封しました。同時に障害者手帳の申請も行うことになっていたのですが、自治体に確認したところ、「障害者手帳の申請書があるなら診断書は必要ない」と言われました。
そこで先日、精神科クリニックを受診した際、「この診断書は必要なくなったのでお返しします」と医師に渡すと、「これは誰が開封したんですか!?」と強い語調で問われました。「封書のまま申請用の封筒に入れるのはどうかと思って開封したんです」と返事をしたところ、「診断書は厳封してあったでしょ!! 厳封してある診断書や紹介状は開封厳禁なんですよ。そんな常識も知らない患者とは信頼関係を築けないので、あなたの診察は担当できません」と厳しく叱責(しっせき)され、診療拒否に遭ってしまったのです。これほど頭ごなしに怒る医師はこちらから願い下げですが、医師はこんなにも簡単に診療拒否をしていいのですか。
回 答COML(コムル)理事長 山口育子
確かに患者がどのように考えて、診断書が入った封筒を開封したのか確認もせず、強い語調で責める医師の態度は冷静さに欠けると思います。そもそも必要でなくなった診断書を医師に返していること自体、開封したことに悪気がなかった証拠ともいえるでしょう。
診療拒否については2019年に医師法などの応召義務(おうしょうぎむ)(正当な事由なく診療拒否をしてはいけない)の解釈の整理がなされました。その結果、診療内容と関係ないクレームを繰り返すなど患者の迷惑行為で「診療の基礎となる信頼関係が喪失している場合には、新たな診療を行わないことが正当化される」との厚生労働省医政局長通知が発出されました。
いずれにしても信頼関係は双方向性なので、片方が「損なわれた」と判断すれば成立しなくなります。もう少し冷静な話し合いなどを行って判断してほしいものだと思います。
認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/
電話医療相談:TEL 03-3830-0644
〈月・水・金 10:00〜13:00、14:00〜17:00/土 10:00〜13:00〉
ただし、月曜日が祝日の場合は翌火曜日に振り替え
提供:健康保険組合連合会
放送:ラジオNIKKEI 第1 毎月第4金曜日 17:30~17:50
聴取可能アプリ:radiko、Apple Podcasts、Spotify