健康コラム
賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.101
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
理事長 山口 育子
夫の退院が延長 不安な家族の本音と専攻医への気遣い
相 談がんの疑いがある」と言われて大学病院を紹介されました。そこで精密検査を受けたところ、「進行している膵臓がんで手術は難しいです。ただ、当院で認められている先進医療で、ナノナイフ治療という高電圧の電気パルスを用いてがん細胞を破壊する治療方法の対象になることが分かりました。この治療は現在とても注目されていて、入院期間も10日ほどで済みます」と医師から勧められました。夫も「その治療に賭けてみたい」と承諾して入院しました。
ナノナイフ治療は無事に成功し、予定通り治療の10日後に退院予定だったのですが、退院が近づいたころに血糖値が不安定で低血糖になり、退院予定が1週間延びました。その後、何度か嘔吐(おうと)を繰り返したことが原因で誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)になり、さらに退院が延びてしまいました。現在は腸閉(ちょうへいそく)塞で退院できなくなっています。
専攻医の若い医師からは電話連絡など頻繁に説明があり、一生懸命、夫の治療をしてくれているのですが、主治医である上級医と一度も会って説明を受けたことがないのです。主治医に話を聞きたいというのは専攻医に対して失礼かと思って言い出せないのですが、ここまで退院が延びると不安になってしまいます。
回 答COML(コムル)理事長 山口育子
専攻医とは2年間の初期研修を終えて、主に3年間の専門研修に入っている医師ですが、上級医と共に入院患者を担当していることが多いです。その専攻医からは連絡や説明を受けていても、家族としては責任ある上級医からも説明を受けたいと思うのは、当然の要求だと思います。
まずは、患者さん本人である夫に上級医から説明を受けているのかどうか確認してはどうでしょう。その上で、夫と一緒に上級医に説明を求めることを家族として依頼するのか、改めて考えてはどうでしょう。上級医に説明を求める場合、専攻医への遠慮もあるということですが、例えば「上級医の先生とは一度もお会いしたことがないので、お2人から説明を受けたい」と依頼すれば、言い出しやすいのではないでしょうか。
認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/
電話医療相談:TEL 03-3830-0644
〈月・水・金 10:00〜13:00、14:00〜17:00/土 10:00〜13:00〉
ただし、月曜日が祝日の場合は翌火曜日に振り替え
提供:健康保険組合連合会
放送:ラジオNIKKEI 第1 毎月第4金曜日 17:30~17:50
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