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健保ニュース 2025年11月下旬号

上野厚労相が所信表明
応能負担の徹底「迅速に検討」
金融所得の反映など

上野厚生労働相は14日の衆院厚労委員会で所信を表明した。高市首相が10月24日の所信表明演説で言及したOTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しと、医療機関の電子化などを通じた効率的で質の高い医療の実現に加え、金融所得の反映などの応能負担の徹底についても「迅速に検討を進める」と述べた。

いずれも自民党と日本維新の会の連立合意に基づく「社会保障制度改革協議体」で年内に結論を出す予定だが、上野厚労相は衆院厚労委での所信表明に先立つ同日の閣議後会見でも、「協議の中身を政府としてもしっかり受け止め、具体的な政策に反映できるように努めたい」と語っていた。

ただ、金融所得の保険料算定などへの反映については、所得の把握が難しく、システム整備も必要なため、「一定の時間がかかる」との認識も示している。

所信表明では、全世代型社会保障の構築に向け、一昨年末の「改革工程」と今年6月の「骨太の方針2025」に基づき、必要な保障が欠けることがないよう留意し、高額療養費制度などのセーフティーネット機能を次世代に維持しつつ、全世代の安心を保障する観点で取り組む方針を示した。

また、給付と負担のあり方に関する国民的議論を踏まえ、関係大臣と協力して税と社会保障の一体改革、特に給付付き税額控除の制度設計に取り組むと強調した。

マイナ保険証については、利用促進に向けた周知や、9月に運用を開始した「スマホ保険証」の医療機関などでの環境整備の支援を含め、すべての人が安心して保険診療を受けられる環境を維持すると主張した。

医療提供体制に関しては、継続審議となっている医療法改正案の早期成立への協力を求めた上で、▽新たな地域医療構想による医療機関の役割分担・連携▽総合的な対策パッケージに基づく医師偏在対策▽医療DX──などを推進すると表明した。

健康対策では、健康寿命の延伸を図り、皆が元気に活躍し、社会保障の担い手になるための「攻めの予防医療」の検討、女性の健康支援に取り組む姿勢を示した。

医療分野の物価・賃金の対応では、次期報酬改定での的確な対応、速やかな経済対策の取りまとめと補正予算の提出を掲げた上で、「報酬改定の時期を待たず、経営の改善や職員の処遇改善につながる支援を可能な限り迅速に届ける」と述べた。

このほか、医薬品関連として、「ドラッグ・ロス」の解消や後発品の安定供給などに取り組むとした。

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