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健保ニュース 2025年11月上旬号

自民・維新の連立合意書
社保改革 年度内に具体化
保険料引き下げ目指す

自民党の高市総裁と日本維新の会の吉村代表(大阪府知事)は10月20日、連立政権合意書に署名した。合意書では、OTC類似薬の保険給付のあり方の見直しや金融所得の反映による応能負担の徹底など、自民、公明、維新の3党が6月に交わした2つの社会保障改革に関する合意書に盛り込まれた項目について、今年度内に具体的な制度設計を行い、現役世代の保険料引き下げを目指すとした。

社会保障費の急激な増加に対する危機感と、現役世代を中心とした過度な負担上昇について「問題意識を共有する」とし、抜本的な改革に向け、両党の協議体を定期的に開催すると明記した。

また、年度内に「医療費窓口負担に関する年齢によらない真に公平な応能負担の実現」など計13項目を含む改革の具体的な骨子について合意し、8年度中に制度設計に着手し、「順次実行」するとした。

連立合意書は12項目に及び、「社会保障政策」が筆頭の「経済財政関連施策」(物価高対策)に続いて2番目に記された。社会保障改革は「国会議員の定数削減」「副首都構想」と並び、維新は連立合意への絶対条件に位置づけていた。維新は7月の参院選の公約で、社会保険料の引き下げを前面に打ち出し、OTC類似薬の保険適用除外や病床削減、高齢者の医療費窓口負担の原則3割への見直しなどを掲げており、社会保障改革を重視している。

6月の自公維3党による2つの合意書は「医療法に関する3党合意書」(6月6日)と「骨太方針に関する3党合意書」(同月11日)。医療法に関する合意は病床再編の拡大と医療DXの加速化が柱で、今年の通常国会に提出された医療法改正案について所要の修正を行い、年度内成立を目指すとした。

ただ、同改正案は4月3日の衆院本会議で審議入りしたものの、野党が並行して議論するよう求めた議員立法の取り扱いをめぐり、与野党が対立したあおりを受け、厚生労働委員会で実質審議入りしないまま継続審議となっている。

骨太の方針に関する合意では、医療法に関する合意の2項目を含む6項目について、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に反映させる方針を掲げた。

これを踏まえ、6月13日に閣議決定した骨太の方針には、OTC類似薬の見直しや応能負担の徹底のほか、病床削減、医療DXの推進などが盛り込まれ、年末までの予算編成過程で検討し、早期に実現可能なものは来年度から実行するとした。

また、骨太の方針の合意において、3党は引き続き、社会保障制度改革に関する協議を続けるとしているが、連立合意では3党合意を「引き継ぎ」ながらも「両党の協議体」を開催するとしており、連立から離脱した公明がどう関与するかは現時点では不透明だ。

上野厚労相は22日の就任記者会見で、公明など野党の意見の反映について問われたが、「幅広い意見を伺うことは大事だ」「そうした動き(野党の意見)をフォローしながら取り組みたい」などと述べるにとどめ、明言を避けた。

連立合意書では、年度内の合意を目指す改革項目として、窓口負担の見直しのほか、▽保険財政健全化策推進(インフレ下での医療給付費のあり方と、現役世代の保険料負担抑制との整合性を図るための制度的対応)▽国民皆保険制度の中核を守るための公的保険のあり方と民間保険の活用に関する検討──などを掲げた。

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