健保ニュース
健保ニュース 2025年11月上旬号
厚労相に上野賢一郎氏
社会保障改革「与党と連携し対応」
10月21日に発足した高市内閣で厚生労働相に就任した上野賢一郎氏は翌22日、厚労省で記者会見した。保険料の引き下げを主張する日本維新の会が連立政権入りする一方、物価高に直面する医療界が次期診療報酬改定で大幅なプラス改定を求める中、社会保障改革にどう取り組むか問われ、「(自民と維新の)合意事項を真摯に受け止め、与党とよく連携して適切に対応したい」と答えた。
また、連立政権から離脱した公明党も含め、「幅広く意見を聞くことが大事だ」と話した。高市首相が表明した税と社会保障の一体改革に向けた国民会議の設置に関しては「具体的には今後の議論になる」とした。
医療機関の経営については、物価高や賃金上昇などで厳しい状況で、現場は報酬引き上げを求めているとの認識を示した。
その上で、「賃金の上昇により、保険料率が変わらなくても保険料収入は増加することも踏まえながら、現役世代の保険料負担の抑制努力を継続しつつ、次期診療報酬改定をはじめとした必要な対応について丁寧に議論を重ねて取り組む」と述べた。
高市首相が表明した医療機関の経営改善や医療従事者の処遇改善につながる補助金については、「必要な施策を積極的に補正予算に盛り込みたい」と意気込んだ。
OTC類似薬の保険給付の見直しの検討は、骨太の方針に医療機関へのアクセスや子ども、慢性疾患患者、低所得者などへの配慮が記載されていることを踏まえ、社会保障審議会医療保険部会で議論を深めるとした。
令和8年度薬価制度改革に向けては、骨太の方針に沿って、国民負担の軽減と創薬イノベーションを両立する観点で、薬価上の適切な評価と医薬品の安定供給の確保を論点に中央社会保険医療協議会で議論しているとして、「物価高対策への対応も含めた薬価改定のあり方の検討を、関係業界の意見も聞きながら丁寧に進めたい」と述べた。
また、創薬力の強化は「ドラッグロス」の解消や医薬品産業の国際競争力の強化のためにも重要だとの認識を示し、「これまで現場の企業や経済団体、患者団体などからもらった意見を踏まえ取り組む」と話した。〈上野厚労相の略歴は次の通り〉
▽厚生労働相 上野賢一郎(うえの・けんいちろう)
平成2年京都大法学部卒、自治省入省。17年衆院初当選。国土交通大臣政務官、自民党財務金融部会長、財務副大臣、自民党副幹事長、衆院厚労委員会筆頭理事などを歴任。滋賀県出身。60歳。