健保ニュース
健保ニュース 2025年11月上旬号
高市首相が所信表明演説
社会保障改革へ国民会議設置
給付と負担のあり方を検討
自民党の高市早苗総裁は10月21日、国会で第104代首相に指名され高市内閣が発足した。高市首相は24日、衆参両院本会議で所信表明演説を行い、人口減少・少子高齢化を乗り越えるため、社会保障制度の給付と負担のあり方について、国民的な議論が必要とし、与野党や有識者からなる国民会議を設置する意向を示した。国民会議では「給付付き税額控除の制度設計を含めた税と社会保障の一体改革について議論する」と述べた。
物価高対策を内閣の最優先事項に位置づけ、この中で、「税・社会保険料負担で苦しむ中・低所得の負担を軽減し、所得に応じて手取りが増えるようにしなければならない。早期に給付付き税額控除の制度設計に着手する」との考えを示した。
現役世代の保険料抑制
「早急に議論」
社会保障政策では、これまでの政党間の合意を踏まえ、▽OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直し▽電子カルテを含む医療機関の電子化▽データヘルスなどを通じた効率的で質の高い医療の実現──などを迅速に検討するとした。
医療提供体制は高齢化に対応して再構築する必要性に言及。具体的には入院、外来、在宅医療や介護との連携を進める新たな地域医療構想を策定するとともに、地域での協議を促す考えを示した。併せて、新たな地域医療構想で病床を適正化する方針を示した。
これらの社会保障制度改革を進めていく中で、「現役世代の保険料を抑える」と強調し、「対応が急がれるテーマについては、早急に議論を進める」と述べた。
健康対策では、「攻めの予防医療」を徹底し、健康寿命の延伸を図ることで社会保障の担い手となってもらう取り組みを進める意向を示した。
物価高対策を柱とする経済対策では、「経営難が深刻化する医療機関や介護施設への支援なども、急を要する」と指摘し、経済対策を早くまとめ、裏づけとなる補正予算を国会に提出するとした。赤字の医療機関や介護施設への対応を急ぐため、診療・介護両報酬に賃上げと物価高を適切に反映するほか、報酬改定の時期を待たず、経営改善と従業員の処遇改善につながる補助金を充てることで、効果を前倒しするとした。
経済財政政策の基本方針は、「経済あっての財政」と強調。「強い経済」を構築するため、「責任ある積極財政」の考え方のもと、「戦略的に財政出動する」とし、これにより「所得を増やし、消費マインドを改善し、税率を上げずとも税収を増加させることを目指す」と述べた。
また、日本経済の成長実現に向けて司令塔的な役割を果たす会議体として「日本成長戦略会議」を発足させる考えを示した。