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健保ニュース 2025年10月中旬号

健保連 東京連合会
25年度 データヘルス研修会を開催

健保連東京連合会(米川孝会長)は6日、都内で2025年度 の「データヘルス研修会」を開催した。第3期データヘルス(24~29年度)の中間評価・見直しを来年度に控えた今年度の研修会は、データヘルス計画の基礎知識・ノウハウの習得、包括的な分析などを習得する目的で実施され、厚生労働省、社会保険診療報酬支払基金、健保連本部の担当者が講演した。

主催者を代表して東京連合会の菅牟田健一常務理事があいさつし、「現役世代の健康の維持、増進を担う健保組合とって、データヘルス計画は大変重要であり、健診結果やレセプトデータを活用して効果的・効率的な保健事業を事業主とのコラボヘルスを通じて実施することが求められている」と述べた。

厚労省保険局の宮下彩乃保険課課長補佐は、「データヘルス計画は、レセプトや特定健診などのデータを基に加入者の健康課題を分析し、課題解決に向けて計画的に保健事業を実施するもので、健康寿命の延伸と医療費の適正化を目指している」とし、「PDCAサイクルを通じて事業の継続的な改善を図るのがデータヘルス計画の基本的な考え方となっている」と述べた。

効率的・効果的なデータヘルスの普及に向けて、評価指標や保健事業のパターン化が求められているとし、「第2期データヘルス計画の中間評価・見直しのタイミングで導入された共通評価指標のデータを参照することで、自組合の立ち位置を確認できる」と指摘。健保組合共通の評価指標は、「保健事業の取り組み状況や効果を客観的に比較することができ、自組合の効果的なデータヘルス計画の見直しにつなげることができる重要な指標だ」とし、積極的な活用を求めた。

保健事業のパターン化については、他の健保組合の参考となるよう、「保健事業の成功事例を標準化された指標を使って比較・分析し、共通する成功パターンを求めていく。標準化された枠組みの中で蓄積されたデータを活用し、実践事例を可視化する」と述べた。

健保連組合サポート部の平澤勇樹保健事業担当部長は、「労働人口の減少に対応するため、女性の活躍や高齢の労働者のさらなる活用、生産年齢を上げることが必要になる。データヘルスはこれらの課題解決につながるので、今まで以上に重要かつ価値の高い事業と位置づけている」と強調し、コラボヘルスに基づくデータヘルスを推進するよう求めた。

データヘルスの一例として、たばこ対策を取り上げた。40~50歳代の男性の喫煙率が高い点に着目し、禁煙は健康につながるメリットに加え、就業時間内に喫煙する時間が積み上がって残業代が発生している可能性に触れ、コストの観点からも事業主の理解が得やすいとした。

この日の研修会では、東京大未来ビジョン研究センターの古井祐司特任教授が特別講演を行った。

データヘルス計画の評価については、「単年度評価は、今一生懸命やっていることを評価し、3年と6年の評価は、そもそもこの保健事業でよかったのか、例えば喫煙率が高い事業所なのにアウトカム指標に喫煙率が入っていなかったことなどを検証してほしい」と述べた。

今後の保健事業のあり方は、一義的には加入者の健康増進、さらに健康保険制度の持続可能性に加え、特に人的資本の質向上に寄与することを重視した。健康な社員は欠勤率が低く、体調不良は労働生産性の低下に直結するとし、「保健事業は企業の人的資本投資の非常に大きな要素である」と指摘した。

データヘルス研修会は、同日の東京開催を皮切りに、9日に宮城、14日に大阪、27日に広島、31日に東京、11月6日に富山、11日に福岡で実施し、都道府県連合会が主催する。

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