健保ニュース
健保ニュース 2025年10月中旬号
東京連合会が初の試み
理事長への情勢報告会開催
情報共有を課題視
健保連東京連合会は2日、関東甲地区の共同事業として、「理事長への健康保険をめぐる情勢報告会」を開催した。会員組合の理事長を対象にした情勢報告会は初の試みで、東京、千葉、神奈川から89組合の理事長ら163人が参加した。冒頭にあいさつした米川孝会長(安田日本興亜健保組合理事長)は、「理事長から健康保険のことを発信するためのベースになるような情報を共有したい」と述べた。
情勢報告会は4連合会の協議で共有された「理事長にもっと情報を届ける必要があるのではないか」という問題意識を契機に実現した。
自身も理事長である米川会長は、理事長は主に自組合の財政状況や他の組合と比較した立ち位置、今後の見通しなどに注目するが、「『今さら聞けないが、健康保険の仕組みがよくわからない』『今、何が問題なのか、もっと深く知りたい』といった思いを抱えているだろう」と述べ、理事長に情報を共有する意義を強調した。
また、米川会長は健保組合を取り巻く状況を説明した。
健保組合には「大企業の」という枕詞がつくが、被保険者数別に組合数をみると、5000人未満の組合が全体の6割弱を占める。また、同業種で集まって設立する総合組合には中小企業が多く加入することから、「実態は必ずしもそうではない」と強調した。
財政状況については、健保組合の支出の40~50%が高齢者医療への拠出金に充てられている財政構造や、協会けんぽとの比較を示した。令和6年度の健保組合の決算見込みは黒字だったが、「賃上げと保険料率の引き上げによるもので、財政は依然苦しい状況だ」と訴えた。
また、協会けんぽの平均保険料率以上の保険料率を設定する総合組合が4割を超え、増加の一途をたどっていると危機感を示した。
健保組合の特徴には、事業主と連携し、加入者の特性に応じ効果的な保健事業を展開できることを挙げた。
最後に、健保連が9月に発表した「ポスト2025」健康保険組合の提言を取り上げ、「加入者への3つのお願い」と、それを支援する「健保組合の4つの約束」、社会の変化に対応した先進的な取り組みなど「5つのチャレンジ」について説明した。
米川会長は「いま一度、医療保険制度の現状を国民に共有し、一緒に対策を考えるような提言だ。理事長にも理解、協力をお願いしたい」と呼びかけた。