HOME > けんぽれんの刊行物 > 健保ニュース > 健保ニュース 2025年10月上旬号

健保ニュース

健保ニュース 2025年10月上旬号

6年度 高額医療交付金交付事業
1000万円以上 高額レセ最多の2328件

健保連は9月25日の記者会見で、令和6年度の高額医療交付金交付事業の事業結果を発表した。1か月の医療費が1000万円以上のレセプトは、前年度比172件増(前年度比8%増)の2328件と過去最多を更新し、平成27年度と比較して6倍超に増えた。

また、1億円以上の件数は4件、最高金額は1億6871万3210円で、これらはすべて脊髄性筋萎縮症の治療薬である高額医薬品「ゾルゲンスマ点滴静注」の使用に起因しており、医療費の高額化傾向を如実に示す結果となった。

高額レセプト上位100件を疾患別にみると、悪性腫瘍=82件が最も多く、血友病=5件、先天性疾患=4件、循環器系疾患=1件、その他=8件と続き、1件あたりの平均金額は約4250万円だった。

悪性腫瘍や先天性疾患については、薬価が数千万円を超える医薬品が使用されたことによりレセプトが高額化した。平成27年度の上位100件は、循環器系疾患=47件、血友病=27件、先天性疾患=12件の順で、1件あたりの平均金額は約1987万円。高額化の要因は主に心臓手術や補助人工心臓の使用だったが、10年間で高額化の要因に大きな変化が見て取れる。

薬価使用合計額が高い医薬品の使用実績をみると、発作性夜間ヘモグロビン尿症等の治療薬「ユルトミリスHI点滴静注」が166億5148万円で最も高く、次いで血友病の治療薬「ヘムライブラ皮下注」129億4335万円となり、1医薬品で100億円を超える使用実績が確認された。

このほか、悪性腫瘍の医薬品の使用実績では、令和3年度に保険収載された「イエスカルタ点滴静注」が15億180万円、「ブレヤンジ静注」が14億3650万円、白血病などのがん治療薬の「キムリア点滴静注」が15億180万円となるなど、薬価3000万円を超える高額医薬品の使用が目立った。

また、血友病で使用される医薬品については、「ヘムライブラ皮下注」をはじめ、近年保険収載された高額医薬品の使用実績の伸びが従来の医薬品に比べて大きい。

分析全体を通じ、悪性腫瘍の治療薬のように単回投与のものは、単価が高額であっても影響が比較的限定的だったが、発作性夜間ヘモグロビン尿症や血友病の治療薬のように継続して長期間使用されるものは使用額が高くなる傾向がみられた。

健保連の高額医療交付金交付事業は、高額医療費の発生による健保組合財政への影響を緩和するため、昭和50年度に任意事業として創設。56年度からは法定事業となり現在に至る。

同事業は、各健保組合が拠出する「財政調整事業拠出金」(標準報酬年総額の千分の1.3相当)のうち千分の1.0(平成28年度からは特例として千分の1.1)に相当する額を財源に、全健保組合の共同事業として運営されている。

6年度は、5年11月~6年10月診療分(過年度分を含む)のレセプトのうち、1か月の医療費が交付基準である150万円(人工腎臓を実施している慢性腎不全、血友病などの特定疾病は100万円)を超える高額レセプトを対象に事業を実施した。

その結果、1364組合から申請があった20万705件を対象に約1203億円を交付。前年度(19万4926件、約1067億円)に比べ、件数は5779件、約3%増加し、交付金額は約136億円、約13%増加した。

なお、6年度についても拠出金収入(交付財源)を上回る申請があったため、500万円以下部分について交付率70%を乗じ、500万円超部分は交付率を乗じず100%交付した結果、全体では平均79%の交付率となっている。

令和6年度高額レセプト上位の概要

けんぽれんの刊行物
KENPOREN Publication

2025年
2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年