健保ニュース
健保ニュース 2025年7月中旬号
特定機能病院のあり方検討会が取りまとめ
現行承認要件 「基礎的基準」に再整理
「発展的基準」で評価上乗せ
「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」(座長・松田晋哉福岡国際医療福祉大教授)は6月25日、大学病院本院が特定機能病院に承認されるための要件を「基礎的基準」に整理した上で、自主的な取り組みを「発展的基準」として評価を上乗せする取りまとめ案を了承した。年内をめどに関連省令、通知を改正する。
取りまとめ案は、大学病院本院の特定機能病院が、地域(特に医師少数区域)で「高度な医療を提供するための拠点」となり、「医師派遣」機能を果たしていることを評価する方向性を示した。
すでに大学病院本院は、地域の3次救急医療の拠点病院として、また、医学生の医師派遣を通して地域医療を支えているが、新たな地域医療構想に向けて、こうした役割を積極的に担うことを求めている。
承認要件の見直しに向けては、高度の医療提供、研究、教育、医療安全それぞれを実施する能力とともに、適切な人員配置、構造設備を持つ病院を特定機能病院として厚生労働相が承認している現状を踏まえ、これらをすべての大学病院本院が満たすべき基礎的基準として整理した。
基礎的基準では、地域で基本診療科を幅広く設置する観点から、標榜が求められる16診療科に加え、新たに病理診断科や臨床検査科、総合診療科の3診療科を設置する。さらに、医師派遣に関する基準を新設し、医師の過多区域から少数区域への派遣実績を適切に評価する。実績報告に、地域医療構想や医師確保計画との整合も求めるとした。
発展的基準については今後設定するが、大学病院が地域の高度な医療提供や教育、研究のとりでとして果たす機能を適切に評価するため、地域の実情で基準達成が困難にならないよう留意するとした。
また、基礎的、発展的両基準は、大学病院本院以外の特定機能病院にも適用する。このうち、国立高度専門医療研究センター(ナショナルセンター)は、 高度な医療の提供に加え、全国の医師教育・研修を行っているものについては、基礎的基準に準じた役割を果たしていれば評価するが、その際に留意すべき論点を検討するとした。
一方、現在承認を受けている特定機能病院が新基準を満たせず、「基準外」とされた場合は、当面の間、厚労省が改善計画を求め、引き続き特定機能病院として取り扱う。
このほか、厚労省は特定機能病院から提出された業務報告書を基に、各病院の基礎的、発展的両基準の取り組み状況を「わかりやすく確認できる」よう公表し、他制度でも活用する方針を示した。また、特定機能病院については今後、新たな地域医療構想、医師偏在対策に関する議論を踏まえ、改めて見直しを行うとし、制度的位置づけも含め引き続き検討する。