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企業・健保訪問シリーズ

昨今、「従業員の健康=企業の重要な資本」との考え方のもと、健康経営を実践する企業が増えています。「企業・健保訪問シリーズ」では、さまざまな工夫で健康経営に成功している企業をご紹介していきます。

企業・健保訪問シリーズ

東京建物株式会社

気持ちよく働ける企業を目指して健康経営を推進

ビル、住宅、商業施設から街づくりといった総合的な不動産開発事業をはじめ、さまざまな事業を展開している東京建物は、2017年のグループ健康経営宣言に基づき、役職員とその家族の健康の維持・増進に向け取り組んでいる。定期健康診断の受診勧奨、生活習慣病の重症化予防等の取り組みが評価され、健康経営優良法人に20年まで4年連続で認定されている(17〜19年はホワイト500に認定)。同社の取り組みについて、東京建物人事部長・西村雅彦さん、同部健康経営・ダイバーシティ推進グループグループリーダー・今井靖さん、同グループ事務長・飯田博子さん、同グループ課長・里見優さんに話を聞いた。

【東京建物株式会社】
設 立:1896年10月1日
本 社:東京都中央区八重洲1-9-9 東京建物本社ビル
( 東京都中央区八重洲1-4-16東京建物八重洲ビル<2020年5月7日より>)
代表取締役 社長執行役員:野村 均
従業員数:655人(2019年12月31日現在)

──社員の「健康」は会社の成長につながる「財産」


人事部長 西村 雅彦 さん

西村さん ▶

 当社は1896(明治29)年創立で、創始者の安田善次郎が大切にした「お客様第一の精神」と「進取の精神」を受け継ぎ、今年で124周年を迎えます。

 当社の最も大きな強みは、「ひと、社員」であると思っています。社員が気持ちよく働ける企業であり続けるために、健康経営の推進は欠かせない要素の1つです。社員の健康は財産であり、会社の持続的な成長、ひいては当社の企業理念「信頼を未来へ」につながるものと考えています。2017年には、最高健康経営責任者である社長の野村から、「東京建物グループ健康経営宣言」を発信しました。

 健康への積極的な取り組みを評価していただき、健康経営優良法人に20年まで4年連続で認定されています(17〜19年はホワイト500に認定)。


人事部健康経営・ダイバーシティ
推進グループグループリーダー
今井 靖 さん

今井さん ▶

 健康経営と切っても切れないもう1つの要素が、働きやすい環境づくりだと思っています。今年1月に、人事部内に健康経営・ダイバーシティ推進グループを設置し、組織体制を整備しました。

 働き方改革として、テレワークやフレックスタイム制度などを実施しているほか、要育児・要介護の社員とその家族に配慮した働き方も重要と考えています。健康経営のさらなる推進と併せて、当社なりの働く環境づくりという観点でのダイバーシティを推進しています。


人事部健康経営・ダイバーシティ
推進グループ事務長
飯田 博子 さん

飯田さん ▶

 具体的な健康に関する施策は、健保組合の支援・連携のもとに実施しています。東京建物グループ合同のインフルエンザ予防接種や歯科検診の実施、また、健康ポータルサイトの利用に加えて、健診受診の勧奨、いわゆるメタボ指導、ストレスチェックの実施、メンタル不調者へのサポート、健康弁当の紹介などがあります。

里見さん ▶

 17年に「「働き方改革」労使検討会議」を立ち上げ、週に1回、働き方改革とは何か、会社と労働組合で一緒に考えました。その中で、社員の健康への取り組みに対する意識を共有することができ、積極的に協力してもらっています。この1〜2年の間で健康経営という言葉が、社員全体に根付いてきたと感じています。

──健診受診率は9年連続で100%を達成

飯田さん ▶

 健康改善に向けて、社員に高い健康管理意識を持ってもらうことが重要になります。そのためには、自身の状況を把握することが不可欠であると考え、定期健診の受診率100%を目標として取り組みました。その結果、健診受診率は11年度から9年連続で100%を達成しています。また、社員本人だけでなく、被扶養者の受診率向上にも力を入れています。

 要再検査対象者に対しては、本人への健診結果通知に、注意喚起の意味で分かりやすいように、「イエローペーパー」を同封して受診勧奨を行っています。再検査受診率も毎年90%以上を確保している状況です。

今井さん ▶

 受診勧奨という意味では、飯田を中心とした、社員1人ひとりへのきめ細かな声掛けの効果が大きいと思います。

飯田さん ▶

 地道な取り組みですが、健康管理において、常日頃からのコミュニケーションの徹底に勝る対策はないと感じています。

西村さん ▶

 現在は、とくに重症化予防対策に重点を置いており、健保組合との連携のもと、予防と早期治療による健康改善を目指しています。

飯田さん ▶

 特定保健指導の終了率は90%以上ですが、残念ながら指導対象者が固定化する傾向にあります。そうした人にどのようにアプローチし、改善してもらうかが大きな課題となっています。

 また、特定保健指導対象外の服薬者への重症化予防対策も重要になります。生活習慣病の治療中の人に対しては、特定保健指導以上の手厚い内容で、新しいパーソナル指導を19年度から試験的に導入しています。


人事部健康経営・ダイバーシティ
推進グループ課長
里見 優 さん

里見さん ▶

 当社において、メタボ該当者の割合を下げることは課題の1つだと認識しています。予防という観点では、特定保健指導の対象とならない非肥満者や若年層向けの対策が重要となっています。

飯田さん ▶

 特定健診・保健指導の対象となる40歳にもなると、ある程度生活習慣が出来上がってしまっています。そうなる前の若年層の生活習慣をどう改善してもらうかが重要と考え、19年度から、39歳まででBMI25以上の人を対象とした6カ月プログラムにトライアル中です。このプログラムは、積極的に介入するというよりは、若い社員が自発的に自分の健康を考えるような内容になっています。そのなかで、体重を量ることを徹底しています。適正体重を保っていれば、健診の各種数値も改善していく傾向があるので、適正体重に収まる人を増やしていくことに注力したいと考えています。

里見さん ▶

 具体的には、体重や食事内容を写真で記録し、AIで解析する「健康アプリ」を使ってもらっています。生活習慣が固まる前段階、事後対応よりも予防の取り組みに重点を置いています。そういった観点から、新たな取り組みとして、新入社員研修の中でも「健康」について触れることとしました。

飯田さん ▶

 健保組合が導入しているポータルサイトでは、多くの健康情報が掲載され、各人の健診結果も閲覧できます。アクセス状況としてはまだまだというところがあるので、社員に日常的に目に触れてもらえるよう、システムの改善も含めて健保組合と相談しているところです。

──「健康弁当」を提供し食事面から支援

西村さん ▶

 健康経営優良法人の認定に向けた取り組みのうち、昼食の食事支援も課題の1つでした。そうした中で、関係学会が「健康な食事・食環境」を審査・認証する「スマートミール」という制度があり、その認証を受けている「健康弁当」を社員に利用してもらうことにしました。

 利用しているお弁当は、おかずが7品目以上で、添加物ゼロ。価格はワンコインです。本社周辺にも食事ができる場所はたくさんありますが、昼食難民になってしまうこともあります。「健康弁当」は、その日の朝、スケジュールに合わせて個別決済システムでオーダーできるので、非常に効率的です。

里見さん ▶

 社員食堂があれば、メニューを改善して、健康食を提供することが解決策として考えられますが、当社の場合、スペースの問題や営業職が多いといった事情があるため、一定の利用が見込めずフードロスの問題が生じてしまう可能性もあります。そこで、食に対する取り組みとして、リーフレットの掲示等による啓発を行うなど、試行錯誤をする中で、「スマートミール」にたどり着きました。

今井さん ▶

 昼食付の各種会議の際にも利用していて、お弁当の手配にかかる手間や時間の効率化にもつながっています。生産性向上、働き方改革の観点からも寄与していると思います。

西村さん ▶

 喫煙率低減にも取り組んでいます。19年10月から月曜日と金曜日の週2日、就業時間内禁煙を実施し、今年4月からは全日就業時間内禁煙としました。

今井さん ▶

 就業規則で規制するのではなく、社員に要請する形ですが、多くの社員に積極的に取り組んでもらっています。

里見さん ▶

 健保組合の協力で、禁煙プログラムも活用し、徐々に禁煙の取り組みが浸透してきています。

飯田さん ▶

 17年度から集団歯科検診に併せて健康に関する意識調査を実施しています。喫煙率は17年度が21%、18年度が22%という状況でしたが、意識調査では、喫煙者の約6割は、自分の喫煙習慣を改善する必要があると考えていることが分かりました。喫煙者の多くが、きっかけがあれば禁煙したいと思っているならば、それを会社として後押ししたいということが背景にあります。

西村さん ▶

 喫煙率は低減していると思いますが、残りの数%のところが厳しいと認識しています。また、グループ会社全体としていかに歩調を合わせて禁煙の取り組みを進めていくのかも、課題であると考えています。

──「職場が好き!」と思える会社に

里見さん ▶

 今後は、自分の健康のために自発的に取り組めるよう、なるべく楽しく、簡単に行える施策を浸透させていきたいと思います。ICT・IoT が発達する中で、例えば、自動的にいろいろな数値が記録されるといった、負担感の少ない仕掛けをうまく使いつつ、一方で直接的なコミュニケーション効果が最も大きいという事実もあるため、バーチャルとリアルの融合を図って取り組みたいと思います。

飯田さん ▶

 健康経営について、さまざまな施策に取り組んできましたが、会社に「させられている」という感覚では、長く続かないと思います。どれだけ「自分ごと」として捉えてもらえるかが課題であり、そうした点に注力していきたいと考えています。

今井さん ▶

 東京建物グループ内にも多種多様な業種があるので、なかなか共通の施策が打ち出しにくい面があります。当社は、グループの中核企業になるので、グループ共通で健康経営に取り組んでいくため、先導役を果たしていきたいと思います。

西村さん ▶

 社員の健康状態には、当然、個々人で差があります。そうした中で、一律に「これをしましょう」という施策は難しいと考えています。より柔軟に、1人ひとりに寄り添ったきめ細やかな健康経営を、どう進めていくかが課題だと認識しています。

 私たちのゴールは、社員1人ひとりが「職場が好きです!」と心から思える会社です。そのゴールを目標に、これからもまい進していきます。