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離れて暮らす親のケア vol.163

介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

認知症が疑われるのに医療も介護も拒否

認知症の症状がある親に、受診や介護サービスの利用を勧めても、拒否されることがあります。話し合いが進まず、無理強いもできず家族としてはどうしたものかと頭を抱えてしまうことも。

Mさん(50代)の父親(80代)は、車で30分ほどの実家で1人暮らしをしています。散歩に出かけて帰宅できずに、交番で保護されることが続いています。「仕事中に、交番から携帯に電話がかかってくるんです。すぐに迎えに行かなければならず、仕事にも影響が……」とMさん。

精神科に連れて行こうと誘っても、父親は拒否。そもそも、医者嫌いで、内科にもかかっていません。父親は介護保険の申請も嫌がり、3カ月ほど前から、Mさんは、単身でほぼ実家で生活しています。出勤前と夜、家事や父親の身の回りの世話をしているそうです。「火事にでもなると大変だし、放置できない。このままでは、仕事を辞めなければならなくなる」とMさん。

国の調査でも、介護離職をした人の経緯として「介護を必要とする家族が認知症を発症、または認知症が重度化した」の割合が高くなっています。

認知症が疑われるのに必要な医療や介護につながっていない場合は、本人ばかりか家族の生活に多大な影響が生じます。そのようなときに頼りになるのが、「認知症初期集中支援チーム」です。医師(認知症サポート医)と医療・介護の専門職で構成されたチームが、対応方法を検討し、計画を立て、訪問支援を実施します。窓口は地域包括支援センターで、受診の際の医療費はかかりますが、支援については無料です。家族だけで何とかしようとせずにプロの力を借りましょう。

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