健康コラム
離れて暮らす親のケア vol.160
介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。
誰がなる? 介護の「キーパーソン」
親に介護が必要になると、ケアマネジャーなどから「キーパーソンは誰ですか」と聞かれることがあります。聞き慣れない言葉に、「それってなに?」と疑問を抱く人が少なくありません。
Kさん(40代)の父親(70代)は実家で1人暮らしをしていますが、足を骨折して入院。退院後は介護保険の申請をして、訪問介護とデイケアサービスを利用しています。
Kさんが実家に滞在していたとき、現在のケアマネジャーと契約しました。ケアマネジャーから「あなたがキーパーソンですね」と問われたそうです。「深く考えず、『はい』と答えたところ、その後、たびたび電話がかかってくるようになりました」。父親が「デイケアをやめたい」とか、「ヘルパーの掃除が雑」とか文句を言うため、ケアマネジャーが困って連絡をしてくるのです。「父は姉(長女)の言葉には従う傾向があるので、キーパーソンを姉に変更したいです」とKさんは話します。
親の介護を行う際、ケアマネジャーと連携することはとても大切です。親本人の判断力が低下している場合は、家族が本人の意思を尊重しながら、希望や予算を伝えます。その役割を担う人、つまり本人や家族間の意見を調整し、専門職との窓口となるのがキーパーソンです。
病院に入院するときにも、キーパーソンは誰かと聞かれることがあります。例えば、治療方法を選択しなければならないときに本人が決められないケースでは、キーパーソンとなる家族に判断を求められます。
誰がキーパーソンとなるかの決まりはなく、家族間で話し合って決めます。Kさんも、姉に担ってもらうことになったら、ケアマネジャーに伝えるといいでしょう。