健康コラム
離れて暮らす親のケア vol.158
介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。
祖父の介護で離職?
親を介護していた子が倒れてしまったら? 要介護者と介護者、2人のケアが必要となります。
Gさん(40代)の母親(70代)は実家で1人暮らしをしている父親(90代)の介護をしていました。そんな母親が脳卒中で救急搬送され、現在入院中です。「私は独身なので、身軽です。仕事を辞めて祖父の介護をするしかないのでしょうか。もしかすると、母も介護が必要になるかもしれない」とGさんは苦しそうな表情で話します。
人生100年時代となり、“祖父母の介護”は多くの人にとって他人事ではありません。しかし、ここは早計な判断をするべきではないと思います。仕事を辞めて、この先の人生、後悔しないでしょうか。経済的な基盤がなくなります。仕事にはやりがいなど、金銭以外の価値もあるのではないでしょうか。
ケアマネジャーなどの介護のプロに相談し、上手にサービスを利用すれば、乗り切ることができるかもしれません。当面、祖父を1人にしておけないなら、ショートステイを利用して施設に宿泊してもらうのがよいでしょう。その間に、本格的な施設入居についても検討します。また、母親の今後については、後遺症のことや生活のことなど、医師から説明を聞き、その上で介護保険を申請するなどケアの方法を考えましょう。
突然、介護が自分ごとになると、時間的にも精神的にも追い詰められてしまいます。離職するのではなく、介護の体制を整えるために、一時的に仕事を休むのもアリです。企業には介護休業制度が義務付けられており、祖父母の介護も対象なので、人事に相談を。肩の力を抜いて、まずはサービスや制度の情報を集めてみましょう。