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離れて暮らす親のケア vol.85

NPO法人パオッコ理事長の太田差恵子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差恵子

特別養護老人ホーム入所を辞退?

親の要介護度が3を超えると、特別養護老人ホームなどに入所を申し込むケースが増えます。離れて暮らしていると、食事やトイレなどの介護を行うことは難しく、居宅サービスを使っても限界を感じることがあるためです。

N子さん(50代)の両親(80代)は、故郷の実家で2人暮らしをしています。父親は足が不自由で認知症の症状もあり「要介護4」。毎日、ホームヘルプサービスを利用していますが、昨年9月に地元の特別養護老人ホームに入所申し込みをしました。当時は満床でしたが、年明けに入所できるとの連絡が来たそうです。ところが、母親が辞退してしまいました。「まだ私は頑張れる。お父さんを施設に入れるのはかわいそう」と母親。N子さんも強くは言えず、母親の判断にうなずきました。しかし、その後、母親は風邪から肺炎を併発して入院。日頃の過労の影響かもしれません。「あのとき辞退したのは失敗でした。入所するように言えばよかった」とN子さんは悔やみます。

N子さんの母親にかぎらず、「入所可」の知らせが来ても辞退する家族は珍しくありません。けれども、すでに在宅介護が限界に近かったから入所を申し込んだはず……。辞退すると、いつ、また順番が来るか分かりません。

親を施設に入れるからといって、家族の縁が切れるわけでなく、施設に通えばその生活をサポートすることはできます。家族の負担は軽減し、これまで以上に笑顔で接することができるでしょう。それは、要介護の親にとっても安心できる環境なのだと考えてみませんか。

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