健康コラム

賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.100

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。

【相談担当】
認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
理事長 山口 育子

一歩踏み込んだ対話を心がけて 患者側と病院側とのコミュニケーション

相 談85歳の父は、アルツハイマー型認知症で、認知症の専門医がいる地域医療を担う病院の精神科にかかっています。父は自分で症状を伝えたり、困っていることを話したりできないので、同居している自営業の私(長男)が受診のたびに父を車で送迎し、診察室にも同行しています。

先日、いつものように薬が処方され、処方箋が発行されました。その病院は、院内に備え付けてあるFAXから父がかかりつけにしている薬局へ、処方箋を送信できるようになっています。そうすると薬局での待ち時間が短縮できるので、ずっとそのシステムを使っています。

その日もいつものように処方箋をFAXで送信し、会計を済ませて帰宅しようと父を車に乗せたところ、私の携帯電話に病院から電話がかかってきました。電話に出ると「処方箋の内容に誤りがあったので、正しい処方箋に差し替えたいが、処方箋はもう薬局に提出しましたか」という内容でした。私は「病院からすでにFAXで送信しましたが、私はまだ病院の駐車場にいるので、正しい処方箋を持って来てください」と頼むと、「いえ。こちらから薬局に連絡するので、どこの薬局ですか」と言われたのです。それは順番が違うだろと腹が立ったのですが、苦情を言うに値しますよね?

回 答COML(コムル)理事長 山口育子

付き添いの家族にしてみれば、病院の駐車場にいるなら院内にいるのも同然。なぜ直接、渡さないのかと思ったのでしょう。ただ、もしかすると病院側にしてみれば、いったんFAXで誤った処方箋を送ってしまっているので、どのような事情で差し替えることになったのかを、薬局に直接、伝えたいという理由があったのかもしれません。

いずれにしても、病院側が一方的に「どうしたいか」を伝えただけで、「なぜなのか」という理由の説明がなかったために、家族が疑心暗鬼に陥(おちい)ってしまったと思われました。できれば家族も、「病院の駐車場にいるのに直接、渡してもらえないのはなぜですか。どのような誤りだったのですか」と率直に聞いたほうがいいと思います。お互いに、もう一歩踏み込んだコミュニケーションを心がけたいものです。

認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ

詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/

電話医療相談:TEL 03-3830-0644
〈月・水・金 10:00〜13:00、14:00〜17:00/土 10:00〜13:00〉
ただし、月曜日が祝日の場合は翌火曜日に振り替え

提供:健康保険組合連合会 
放送:ラジオNIKKEI 第1 毎月第4金曜日 17:30~17:50
聴取可能アプリ:radiko、Apple Podcasts、Spotify

バックナンバー