健保ニュース
健保ニュース 2025年11月下旬号
中医協 長期収載品の選定療養
松本理事 差額全額を患者負担に
中医協は14日の総会で、「長期収載品の選定療養」について、患者負担の引き上げを巡って議論した。
長期収載品の選定療養は、現在、患者が希望して長期収載品を使用した場合、長期収載品と後発医薬品との価格差の4分の1相当を特別料金として患者負担としているが、厚生労働省は見直し案として、この価格差を2分の1、4分の3、1分の1(全額)に引き上げる選択肢を論点として提示した。
健保連の松本真人理事は、後発品を使用するインセンティブをより働かせる観点から、現在の4倍となる「価格差の全額」(1分の1)を患者負担とする案を支持した。
選定療養を適用する要件については、「後発品の限定出荷などが続いている状況を踏まえ、後発品を使用できる環境にある長期収載品について選定療療養の対象とすることに異論はない」と述べた一方、「医療の必要性」の判断に対しては「精査が必要」とした。
長期収載品については、医療上の必要性がないにもかかわらず、患者が後発品でなく先発品の使用を希望した場合、後発品との価格差の4分の1を患者負担とする選定療養の仕組みが令和6年10月から導入された。医療上の必要性があると認められる場合や、薬局に後発品の在庫がないなど後発品の提供が困難な場合は選定療養の対象とせず、特別料金は発生しない。
長期収載品の選定療養が開始された6年10月以降、後発品の数量ベースの使用割合は90%以上に上昇しており、後発品の使用促進に一定の効果があったと考えられている。
6年11月で選定療養の対象となったレセプトは368万件(全体の4.9%)。特別料金の分布は3000円未満が99.8%で、2000円未満が98.3%、1000円未満が90.0%だった。
鳥潟美夏子委員(全国健康保険協会理事)は患者負担について、松本理事と同様、差額の全額とするよう主張した。
永井幸子委員(連合総合政策推進局長)は「患者への影響を踏まえて丁寧に検討することが必要」と指摘した。
江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は「どういう理由で患者が長期収載品を希望しているのか、特別料金の負担をどう感じているのかなどの実態を把握して検討する必要がある」と述べた。
選定療養の要件では、「医療上の必要性があると認められる場合や、薬局に在庫がないなど後発品を提供することが困難な場合は、選定療養の対象外とする扱いは今後も堅持すべき」と主張した。