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健保ニュース 2025年11月中旬号

介護保険部会 「持続可能性の確保」を議論
利用者の負担拡大に賛否
伊藤常務 原則「2割」を主張

社会保障審議会介護保険部会(部会長・菊池馨実早稲田大教授)は10月27日、次期制度改革に向けて、給付と負担のあり方に関連する「持続可能性の確保」をテーマに議論した。費用を負担する側に立つ健保連や経済界は、制度の持続性を確保する観点から、利用者負担を引き上げる必要性などを主張したが、主に利用者側は負担増に反対し、賛否両論の構図が続いている。

この日の会合では、利用者負担、ケアマネジメントの給付、軽度者(要介護1・2)への生活援助サービスなどの給付、被保険者・受給者範囲のあり方が主な論点となった。

利用者負担については、例えば2割負担となる対象者をどこまで広げるのかが具体的な論点として示された。2割負担に該当する「一定以上所得」、さらに3割負担に該当する「現役並所得」の判断基準の見直しが焦点となっており、政府の方針として今年末までに結論を出すことになっている。

ケアプラン作成などにかかるケアマネジメントの給付のあり方は、利用者負担を導入するか否かを、次の第10期介護保険事業計画期間が始まる2027年度までの間に結論を出すこととなっている。

軽度者への生活援助サービスなどの給付のあり方も、介護保険制度として全国一律のサービス体系から、各市町村が実情に合わせてサービスを柔軟に提供できる総合事業に移行させるか否かを、27年度までの間に結論を出すこととなっている。被保険者・受給者範囲は、現行40歳以上64歳以下の第2号被保険者の年齢を40歳未満に引き下げるか否かが論点となっている。

健保連の伊藤悦郎常務理事は利用者負担について、低所得者に配慮しつつ原則2割とするよう主張した。ケアマネジメントには利用者負担の導入を提案した上で、「一定の定額負担からスタートするなど段階的な導入も検討すべき」と述べた。

軽度者への生活援助サービスなどの給付のあり方は、まずは要介護1の生活援助サービスから移行するなど段階的な見直しを検討課題に挙げた。被保険者・受給者範囲の見直しについては、現役世代の負担軽減に反するとして40歳未満への年齢引き下げに反対した。

幸本智彦委員(日商社会保障専門委員会委員)は、「現役世代の負担軽減に向けて踏み込んだ議論を行うべき」と強調し、利用者負担の水準を決める判断基準に金融所得などを反映させることなどを提起した。

平山春樹委員(連合総合政策推進局生活福祉局局長)は利用者負担について、医療と介護を受ける頻度が高まる高齢者への影響を十分に勘案して「丁寧かつ慎重に議論する必要がある」と慎重な姿勢を示した。ケアマネジメントへの利用者負担の導入に対しては、サービスの利用控えにつながるとして反対した。

軽度者の生活援助サービスを総合事業に移行させることについては、「市町村の財政状況によってサービス水準や利用者負担に格差が生じる」と懸念し反対した。被保険者・受給者範囲については、「18歳未満を除く全ての医療保険加入者に拡大し、制度の普遍化を図るべき」と主張した。

和田誠委員(認知症の人と家族の会代表理事)は、利用者負担の引き上げに反対するとともに、ケアマネジメントへの利用者負担導入にも反対した。

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