健保ニュース
健保ニュース 2025年11月中旬号
子ども支援金管理部会が初会合
周知広報の徹底で一致
算定の府令案を了承
こども家庭庁は10月28日、「子ども・子育て支援金制度管理部会」の初会合を開いた。各保険者の加入者の見込み数の算定方法など、支援金の算定に関する内閣府令の規定事項を提案し、了承された。来年4月の制度開始に向け、委員からは周知広報の徹底を求める声が相次いだ。
部会はこども家庭審議会令に基づき、同審議会子ども・子育て支援等分科会の下に設置されたもので、支援金制度の実施に関する▽内閣府令▽周知広報▽実施状況の確認・評価──などについて意見聴取する。
部会長には松田茂樹氏(中京大教授)、部会長代理には権丈英子氏(亜細亜大教授)が就いた。健保連の伊藤悦郎常務理事が委員として参画する。
支援金総額(公費負担を除く)は段階的に引き上げ、初年度の令和8年度は6000億円、9年度は8000億円、10年度は1兆円を見込む。年末の予算編成過程で、最終決定する。
決定された支援金総額はまず、後期高齢者とそれ以外の世代(現役世代)で医療保険料の負担総額に応じて案分する(8、9年度は8:92と法定)。次に現役世代の分を被用者保険と国民健康保険の加入者数で案分し、さらに被用者保険分を総報酬割で案分する。
各保険者の加入者数や標準報酬総額の見込み方、保険者の国への報告事項など、支援金総額を各保険者に案分する際に必要な事項は内閣府令で定めることとされている。
伊藤常務理事は意見交換で、国会の附帯決議を踏まえ、「一律の支援金率の公示」が規定事項に盛り込まれたことに謝意を述べた。その上で、「健保組合は公示される一律の支援金率で被保険者、事業主から徴収するが、被用者保険の全保険者が足並みをそろえて一律の支援金率で徴収することが重要だ」と強調した。
あわせて、部会に国が設定した一律の支援金率を示し、「確認する機会」にするとともに、初年度は健保組合の会計処理の関係上、11か月分しか徴収できない事情などにも配慮して設定するよう要望した。
また、来年4月からの円滑な徴収に向け、健保組合が被保険者や事業主への説明に取り組む中、加入者から「子ども支援金のことを初めて知った」という反応があったことを紹介。「支援金制度は重要な少子化対策の一環であり、国策としてスタートするため、しっかりと国で周知広報を展開してほしい」と求めた。
清家武彦委員(経団連経済政策本部長)は支援金制度の周知広報について、歳出改革による公費節減と社会保険負担軽減の効果を具体的に示すなどして、国民の制度に対する理解を深めるべきだと主張した。
永井幸子委員(連合総合政策推進局長)の代理として出席した小林参考人は、「本来、支援金は公費による財源確保がふさわしい」と指摘した上で、「個々人に具体的にどう影響を及ぼすかきちんと伝えることが欠かせず、事業主や保険者への混乱も避ける必要があるため、丁寧な説明を徹底してほしい」と述べた。
自治体関係の委員からは、周知広報の徹底に加え、支援金徴収に伴うシステム改修にかかる費用について、財政支援を求める意見などが出た。