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健保ニュース 2025年10月下旬号

5年度国民医療費
前年度比3 % 増 過去最高の48兆915億円
1人あたり38万6700円

厚生労働省は10日、令和5年度の「国民医療費の概況」を公表した。5年度の1年間に保険診療にかかった医療費の総額(国民医療費)は、前年度比1兆3948億円、3.0%増の48兆915億円となった。1人あたり医療費は1万3000円、3.5%増の38万6700円で、いずれも過去最高を更新した。

5年度の国内総生産(GDP)に占める国民医療費の割合は、0.15ポイント減の8.08%となった。

国民医療費は当該年度内の医療機関などにおける病気やけがの治療に要した費用を推計したもので、「医科・歯科にかかる診療費」や「薬局調剤医療費」、「入院時食事・生活医療費」、「訪問看護医療費」のほか、医療保険の給付対象となる「柔道整復師・はり師等による治療費」なども含んでいる。

一方、保険適用外の先進医療、差額ベッド代、歯科の金属材料などの費用は含んでいない。また、傷病の治療費に限っているため、正常な妊娠・分娩や健康診断・予防接種、身体障害のための義眼や義肢にかかる費用なども除いている。

後期高齢者医療給付
4.6%増の17.2兆円

国民医療費を制度別にみると、▽被用者保険と国民健康保険を合わせた医療保険等給付分21兆5147億円(前年度比2.0%増)▽後期高齢者医療給付分17兆2072億円(同4.6%増)▽公費負担医療給付分3兆4594億円(同0.8%減)▽患者等負担分5兆9101億円(同4.6%増)──となっている。

医療保険各制度の医療給付費は、被用者保険12兆3435億円(同4.6%増)、国民健康保険8兆8550億円(同1.6%減)、労災などを含む「その他」3161億円(同3.5%増)。

被用者保険の主な内訳は、健保組合が4兆2549億円(同4.6%増)、協会けんぽが6兆5287億円(同2.4%増)などとなっている。

また、被用者保険と国保適用の70歳以上の高齢者分は、それぞれ8273億円(同1.3%増)、3兆5056億円(同3.7%減)だった。

財源別医療費の構成
保険料50%、公費37%

財源別の国民医療費は、保険料が24兆1383億円で、7877億円、3.4%増加した。内訳は被保険者13兆5770億円(同3581億円、2.7%増)、事業主10兆5613億円(同4297億円、4.2%増)。

また、公費は18兆331億円で、3494億円、2.0%増加。内訳は、国庫11兆9252億円(同1340億円、1.1%増)、地方6兆1079億円(同2154億円、3.7%増)。

このほか、患者負担や自動車事故による自賠責保険の支払いなどを含む「その他」は、2576億円、4.5%増の5兆9201億円だった。

国民医療費全体に占める割合は、保険料50.2%(同0.2ポイント増)、公費37.5%(同0.4ポイント減)、その他12.3%(同0.2ポイント増)となっている。

医科診療医療費は
2.1%増の34.5兆円

診療種別の国民医療費は、▽医科診療34兆5498億円(国民医療費全体の71.8%)▽歯科診療3兆2945億円(同6.9%)▽薬局調剤8兆4563億円(同17.6%)▽入院時食事・生活7437億円(同1.5%)▽訪問看護5727億円(同1.2%)▽療養費等4744億円(同1.0%)──。

前年度比は▽医科診療2.1%(7243億円)増▽歯科診療2.1%(670億円)増▽薬局調剤5.8%(4660億円)増▽入院時食事・生活2.0%(147億円)増▽訪問看護23.6%(1094億円)増▽療養費等2.9%(134億円)増──だった。

医科診療の内訳は、入院が2.9%増の17兆8580億円(国民医療費全体の37.1%)、入院外が1.3%増の16兆6918億円(同34.7%)。

これを病院・診療所別にみると、入院は病院が3.0%増の17兆4992億円(同36.4%)、診療所が2.0%減の3588億円(同0.7%)。

一方、入院外は病院が1.4%増の7兆928億円(同14.7%)、診療所が1.3%増の9兆5990億円(同20.0%)となった。

65歳以上の医療費
全体の6割占める

年齢階級別の国民医療費は、▽0~14歳2兆7688億円(同5.8%)▽15~44歳5兆8422億円(同12.1%)▽45~64歳10兆5998億円(同22.0%)▽65歳以上28兆8806億円(同60.1%)──で、65歳以上の医療費が国民医療費全体の6割を占める。

その中でも75歳以上は、19兆1503億円と全体の4割を占める。
 また、65歳を境にした1人あたりの国民医療費は、65歳未満の21万8000円(前年度比4.1%増)に対し、65歳以上は4倍の79万7200円(同2.7%増)。このうち医科診療分は、65歳未満が14万5300円(同2.1%増)、65歳以上が60万200円(同2.6%増)となっている。

疾患別は循環器系が最多
医科診療医療費の2割弱

このほか、医科診療医療費を傷病分類別にみると、高血圧や脳梗塞など「循環器系の疾患」が6兆2834億円(医科診療医療費全体の18.2%)で最も多く、次いでがんなど「新生物〈腫瘍〉」5兆1994億円(同15.0%)、関節リウマチや骨粗しょう症など「筋骨格系および結合組織の疾患」2兆7581億円(同8.0%)の順となっている。

年齢別では、65歳未満は「新生物〈腫瘍〉」1兆7168億円(65歳未満の医科診療医療費の13.4%)、65歳以上は「循環器系の疾患」4兆9935億円(65歳以上の医科診療医療費の23.0%)が最多。

男女別では、男性は「循環器系の疾患」(男性の医科診療医療費全体の19.8%)が最も多く、「新生物〈腫瘍〉」(同16.5%)、「呼吸器系の疾患」(同8.2%)と続き、女性は「循環器系の疾患」(女性の医科診療医療費全体の16.6%)、「新生物〈腫瘍〉」(同13.7%)、「筋骨格系および結合組織の疾患」(同10.1%)の順に多かった。

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