健保ニュース
健保ニュース 2025年10月下旬号
新地域医療構想の必要病床数
受療率低下を織り込み算定
厚生労働省は15日、地域医療構想及び医療計画等に関する検討会(座長・遠藤久夫学習院大学長)に、新たな地域医療構想のガイドラインに示す必要病床数について、改革モデルを用いることで、近年の受療率低下などを織り込んで算定する方針を提示した。構成員から特段の異論はなかった。
この日の会合は、厚労省から地域医療構想の病床数や病床機能報告に関する報告を受けた上で、必要病床数の算定方針と病床機能報告について議論した。
現在の地域医療構想の必要病床数では急性期などの機能ごとの延べ患者数を算出し、病床稼働率で割り戻して病床数を推計している。また、推計にあたっては「年齢階級ごとの医療需要と医療提供が変わらない(現状投影)」と仮定されている。
延べ患者数の実績をみると「医療技術の高度化」、「在院日数の短縮などの効率化の取り組み」、「人口構成の変化」などが要因で、2025年時点の推計入院患者数が121.6人(13年の実績を100)に対し、24年の実績値が95.7人と大きく乖離している。
新たな地域医療構想では、推計と実績の乖離につながった現在の診療実態を必要病床数の推計に組み込むことで、より正確な必要病床数の推計を目指す。
あわせて、包括期機能における「高齢者の急性期患者の受け入れや回復期リハビリテーションの効率的な提供、医療機関の連携・再編・集約化による効率化」などの取り組みも改革モデルに盛り込むとした。
病床機能報告は、医療機関が自主的に報告していたため、都道府県によっては診療報酬の平均在院日数や重症度、医療・看護必要度に準ずる独自の基準を設定している例があるなど、報告実態が一律となっていない状況となっている。
そのため、新たな地域医療構想では、高度急性期や急性期などの病床機能区分の選択にあたり、客観的な報告に資するよう、入院料の種類ごとに対応する機能区分の目安を整理するとした。
構成員からは病床機能報告を整理する方向に異論はなかった。
健保連の伊藤悦郎常務理事は、現行の地域医療構想の開始以降、入院患者数が低下していることに対し、「急性期入院医療の標準化などの医療現場の努力の成果だ」と評価した上で、「一層取り組みを進める意味でも、改革モデルを使用した算定に賛成だ」と述べた。
また、包括期機能に関しても事務局案に賛同した。
病床機能報告については「地域医療構想の進捗を適切に管理するために、客観的な基準が必要だ」とし、全ての地域ができる限り同じ目線で取り組む観点から「少なくとも目安として入院料の種類ごとの整理が不可欠だ」と強調した。