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健保ニュース 2025年10月下旬号

中医協 外来医療を議論
松本理事 かかりつけ医機能発揮を重視

中央社会保険医療協議会(会長・小塩隆士一橋大経済研究所特任教授)は17日の総会で、令和8年度診療報酬改定に向けて、外来をテーマに、かかりつけ医に関する評価のあり方を議論した。健保連の松本真人理事は、「外来医療については、かかりつけ医機能の発揮が最大のテーマだ」と強調した。

診療所などのかかりつけ医機能を評価する機能強化加算は、患者の状態に関係なく初診料に一律80点を上乗せできる。

松本理事は、同加算について、施設基準で生活習慣病に着目して評価する地域包括診療料の届出医療機関や、在宅療養支援診療所(在支診)・在宅療養支援病院(在支病)を「かかりつけ医機能が強い医療機関」としており、「継続して受診している患者との結びつきが強い」にもかかわらず、実際には初めて来院した患者に加算する仕組みとなっているため、「構造的にバランスが悪い」と指摘した。

一方で「初診の患者にも当然、かかりつけ医機能は重要」とし、「初診の患者にもわかりやすい形でかかりつけ医機能を評価する診療報酬に、名称も含めて作り変えるべき」と述べた。

具体的には、かかりつけ医機能報告制度を参考にして、現行の診療報酬で評価していない「1次診療が可能な診療領域や疾患」への対応やかかりつけ医機能の研修の終了などを評価項目に位置づけることで、「かかりつけ医機能の底上げを図るべき」と主張した。

生活習慣病管理料
実態踏まえて適正化を

また、この日の中医協総会では、生活習慣病管理料について議論した。生活習慣病管理料(月1回算定)は平成14年度診療報酬改定で導入され、令和6年度改定で管理料ⅠとⅡに再編された。管理料1は脂質異常症が主病の場合610点、高血圧症が主病の場合660点、糖尿病が主病の場合760点で、検査が包括されているなど点数が管理料2よりも高い。管理料2は333点。

厚生労働省が示したデータによると、「検査の頻度が2か月に1回より少ない患者」など検査があまり行われていない患者で検査料が包括された管理料1の算定が多い実態が示された。

これを受け、松本理事は、「検査など医療資源の投入量を詳細に分析して、実態に見合った評価に適正化することを強く求める」と強調した。

また、糖尿病患者に年1回程度、眼科受診を指導し、歯科受診を促すことが同管理料の算定要件に含まれているが、厚労省提出のデータを踏まえ、「残念ながら十分に実施されているとはいえない印象を受ける」とし、「しっかり歯科や眼科の受診指導を実施していない場合は減算することを検討すべき」と提起した。

さらに、脂質異常症、高血圧、糖尿病の患者のうち、1割程度が「外来管理加算のみの患者」となっているデータを踏まえ、「一部の医療機関で適切な検査や療養計画書もなく薬を処方するだけの状況が強く疑われる」と指摘した。外来管理加算の要件の「丁寧な問診と詳細な診察、懇切丁寧な説明」は、「当たり前のことで、質の高い生活習慣病の管理を推進する観点から、外来管理加算の廃止や処方箋料のさらなる引き下げが必要」と主張した。

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