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健保ニュース 2025年9月下旬号

人口減少地域の介護サービス維持
人員配置基準の緩和が論点に

社会保障審議会介護保険部会(部会長・菊池馨実早稲田大教授)は8日、人口減少やサービス需要の変化に応じた介護サービス提供体制の構築に向け、人員配置基準や地域の実情に応じた評価の仕組みなどについて議論した。

健保連の伊藤悦郎常務理事は厚生労働省が提案した中山間・人口減少地域での人員配置基準の緩和について、「基準の緩和にあたっては、サービスの質の確保や財源の問題などを慎重に検討することが必要だ」と述べた。

この日の会合は、厚労省が示した①地域の類型の考え方②地域の実情に応じたサービス提供体制の維持の仕組み③地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み④介護サービスを事業として実施する仕組み⑤介護事業者の連携強化⑥地域の実情に応じた既存施設の有効活用──の6つの論点に沿って議論した。

このうち①は65歳以上人口がピークに近づく2040年に向けて全国を「大都市部」、「中山間・人口減少地域」、「一般市等」に分類。地域の分類にあたっては国が対象地域の考え方を示し、市町村の意向を踏まえ都道府県が関与するとした。

②は中山間・人口減少地域では人材確保が困難なため、基準該当サービス(厚労省令の基準を一部満たしていないが、特例的に市町村が認定した事業所)の要件緩和や対象サービスを拡張し、提供体制の維持・確保を図る考えを示した。

③は訪問サービスの報酬の仕組みが出来高制であるため、安定的な経営が難しい状況だと提起。現行の仕組みに加え、月単位の定額報酬(包括的な評価の仕組み)を選択可能とする案を示した。利点として利用者数に応じて収入が見込めるため、経営の安定化につながることなどを挙げた。

④は介護保険財源を活用した給付に代わる新たな事業を、市町村が実施できる仕組みの検討を提案した。実際には市町村がサービスを介護事業所に委託することを想定している。事業者側は個別払いではなく事業費として収入を得るため、経営の安定に資するとした。

伊藤常務理事は①について、「地域を分類した上で実情に応じたサービス提供体制を確保することは重要だ」と事務局の提案に賛同するとともに、「対象地域の考え方を国がわかりやすく提示する必要がある」とした。

③については「資料の「包括的な評価の仕組みのポイント」にはメリットのみが記載されている」と指摘し、「利用回数が少ないと利用者負担が増加するなどのデメリットも整理した上で議論すべきだ」と述べた。

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