健保ニュース
健保ニュース 2025年9月下旬号
中医協 歯科改定の重点項目を了承
患者ニーズの多様化に対応
中央社会保険医療協議会は10日、令和8年度診療報酬改定に向け、歯科医療で重点的に対応する項目を了承した。限られた医療資源を最大限活用し、多様化する患者ニーズに応えるために、重点項目に係る評価を議論する方針。
厚生労働省が示した重点項目について、健保連の松本真人理事は「患者の多様性に配慮した方向性は理解できる」とした上で、「ニーズの充足のみでは財源への影響が大きく、効率化や適正化とセットで評価すべき」と述べた。
厚労省は政府の「骨太の方針2025」や同省の「歯科医療提供体制に関する検討会」の中間取りまとめを踏まえ、重点項目として▽在宅▽障害者▽歯科疾患・口腔機能の管理などの生活の質に配慮した歯科医療▽へき地▽多職種連携▽歯科衛生士・歯科技工士▽歯科治療のデジタル化──を挙げた。
このうち歯科医療は、患者の基礎疾患や認知症の有無、多剤服用、ライフステージに応じた歯科疾患や口腔管理への対応を担うかかりつけ歯科医の役割を評価する。
松本理事は適正化が必要な評価項目として、「歯科疾患管理料」を取り上げ、計画的な管理体制を評価する仕組みにもかかわらず、書面での説明や署名同意が必須ではなく、文書交付のみで算定できる点や初診から算定できる点に疑問を呈した。
その上で、「2年度改定では、管理の実態が乏しいとされ、点数が引き下げられた経緯があるが、次期改定に向け、根本からの議論が必要」と述べた。
診療側の大杉和司委員(日本歯科医師会常務理事)は、「かかりつけ歯科医は、定期的に口腔管理を行うことで、歯科疾患の重症化を予防するとともに、日常生活の基本的な機能の維持・向上に寄与する重要な役割を担う」として、「口腔機能管理料は機能評価や訓練・指導を受ける患者にとって重要だ」と述べた。
また、次期改定は「管理を行う側と受ける側の双方がわかりやすく、適切な管理ができる評価体制を検討すべき」と要望した。