健保ニュース
健保ニュース 2025年9月中旬号
8年度診療報酬改定
医療部会 基本方針の議論に着手
米川副会長 今後の保険財政に懸念
社会保障審議会医療部会(部会長・遠藤久夫学習院大学長)は4日、令和8年度診療報酬改定の基本方針策定に向けた議論に着手した。健保連の米川孝副会長は、人口が減少する中で、医療保険財政が悪化していくことに懸念を示し、「診療報酬改定には、より一層の賃金上昇と国民の理解が必要だ」と指摘した。
この日の会合は、8月28日の同審議会医療保険部会と同様に6年度改定を振り返った上で、8年度改定の基本方針の議論のスケジュールに基づいて意見交換した。
米川副会長は「物価高騰や賃金上昇で医療現場が大変な状況であることは理解しており、医療提供体制を維持することは重要だと認識している」と述べるとともに、「診療報酬改定だけで賄うのでなく、税制や補助金など、他の財源に関する考え方を基本方針に盛り込んでもいいのではないか」と提案した。
また、薬剤給付の最適化について、「長期収載品の選定療養の強化やOTC類似薬の給付の見直しなどの効率的な給付のあり方を議論してほしい」と要望した。
佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)は、「少子高齢化の中で、医療保険財源には限りがあるため、充実すべき項目と適正化すべき項目を整理し、メリハリのある改定をすべきだ」と述べた。
黒瀨巌委員(日本医師会常任理事)は「病院の経営は瀕死の状態だといっても過言ではなく、新たな地域医療構想を実現できるか不安がある」と強調。医療機関の危機的状況を打破するためには「用途が指定されている加算ではなく、基本診療料を引き上げることで、医療機関が経営の選択肢を増やせるような改定にすることが必要」とした。
岡俊明委員(日本病院会副会長)は前回改定で新設されたベースアップ評価料について、「春闘や人事院勧告で示された賃上げ率に全く追いついていないため、期中改定も含めた検討をしてほしい」と述べた。