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健保ニュース 2025年9月上旬号

人口規模別の急性期拠点
20万~30万人ごと1つ確保

地域医療構想及び医療計画等に関する検討会(座長・遠藤久夫学習院大学長)は8月27日、区域の人口規模を踏まえた急性期拠点機能について議論し、「大都市型」「地方都市型」いずれの区域でも、人口20万~30万人ごとに1拠点、医療機関を確保する方針案を了承した。

前回会合(同月8日)では、30万人未満を目安とする「人口の少ない地域」について、医療資源を多く投入する医療行為を集約し、区域内に1医療機関を確保する方針が示されている。

厚生労働省は27日の会合で、「人口の少ない地域」に大学病院本院がある場合は、本院以外に急性期拠点機能を担う医療機関を確保可能とする案を示した。高度な医療や医師派遣機能を持つ大学病院本院は、新たな地域医療構想を踏まえた地域医療への貢献が期待されており、取り組みを評価する仕組みも検討されている。

また、「大都市型」のうち、東京など人口が極めて多い地域は、患者の移動がより複雑になるため、地域偏在の観点も踏まえた区域設定のあり方も別途整理する必要があるとした。

厚労省はこうした考えに基づき、地域医療構想の策定に向け都道府県が行う区域の点検・見直しの観点と、点検に必要なデータの案を提示した。

2040年やその先に向けた医療提供体制を検討する上で区域として適切か、人口推計や既存の医療資源、必要病床数、医療の提供状況などのデータに基づき点検し、必要に応じて見直す。その際、医療資源の偏在や多寡といった人口規模に応じた観点を踏まえることとした。データについては、都道府県で把握することが困難な場合、国が提供するとした。

健保連の伊藤悦郎常務理事は、「大学病院本院がある区域は、自動的に拠点が2か所になるという整理ではなく、1か所への集約か対象地域の拡大を検討すべき」と述べた。

また、「人口の極めて多い都市部の区域に例外を設ける場合、適切に区域が設定されるようデータに基づく点検が必要だ」とした。

今村知明構成員(奈良県立医科大教授)は、「区域に1拠点とする理想には賛成できる」としつつ、「国公立病院などが複数ある区域での一本化は難しいのではないか」と述べた。

望月泉構成員(全国自治体病院協議会会長)は、「第8次医療計画で必要に応じて区域設定を見直している地域もある」と指摘した。「医療計画で定める5事業6疾病について、例えば、がんは5つの区域、周産期医療は4つの区域ごとの枠組で拠点病院を持つ方法もあり、フレキシブルに考えるべき」と述べた。

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