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健保ニュース 2025年9月上旬号

医療保険部会
診療報酬 改定基本方針の議論開始
佐野会長代理 効率化の視点不可欠

社会保障審議会医療保険部会(部会長・田辺国昭東京大大学院教授)は8月28日、令和8年度診療報酬改定の基本方針策定に向けた議論を開始した。健保連の佐野雅宏会長代理は「医療保険制度の維持には、必要な医療の質を確保した上で、これまで以上に医療の効率化、適正化を進める視点が不可欠だ」と強調し、幅広い視点での議論を訴えた。

この日の会合は、6年度改定の基本方針の振り返りや診療報酬改定の流れを確認した上で、厚生労働省が提示した8年度改定の基本方針の議論のスケジュールに基づき、意見交換した。

8年度改定に向けたスケジュールは、今回の「前回改定の振り返り」に続き、▽9月下旬~10月上旬=「基本認識、基本的視点、具体的方向性①」▽10月下旬=「基本認識、基本的視点、具体的方向性②」▽11月下旬=「骨子案」▽12月上旬=「基本方針(案)」──の計5回の議論を予定。基本方針は12月上旬に決定するとした。

健保連の佐野会長代理は、「医療提供側が物価高騰や賃上げ動向に懸念を持っていることは理解している」とした一方、議論の進め方について「前回改定の検証に加え、診療報酬で対応するものと補助金や税で対応するものを切り分けて議論すべき」と述べた。

北川博康委員(全国健康保険協会理事長)は、「現役世代の社会保険料負担が限界を迎えている」とし、「国民皆保険の持続性確保のためには、地域医療構想の実現や医療DXの推進などによる効率化、適正化に着実に取り組むことが必要だ」と強調した。

村上陽子委員(日本労働組合総連合会副事務局長)は、「少子高齢化の中で医療保険財源には限りがある」と述べ、医療保険制度の持続可能性や国民負担の状況などを総合的に考慮したメリハリのある改定が必要とした。

城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、医療機関の経営は危機的な状況で、医療関係者の賃上げが他産業に全く追いついていないとし、こうしたことを委員全員の共通認識にした上で議論を進めるよう要望。「次回改定は医療機関の大幅な適正化を主眼とするのではなく、前回改定の不合理を見直す形で、医療機関に過度な負担がかからないようにすべき」と主張した。

渡邊大記委員(日本薬剤師会副会長)は、「物価高騰と毎年の薬価引き下げにより薬局は厳しい経営状況にあり、賃上げができていない」とし、薬局が無理なく賃上げが実施できる改定を求めた。

この日の医療保険部会では、マイナ保険証の利用促進、電子処方箋・電子カルテの目標設定についても議論した。

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