健保ニュース
健保ニュース 2025年8月下旬号
中医協・薬価専門部会
次期改定の検討事項を了承
新薬創出等加算など論点
中医協の薬価専門部会(部会長・城山英明東京大大学院教授)は6日、令和8年度薬価改定に向け、新薬創出等加算の累積額控除や市場拡大再算定による価格調整を含む検討事項を了承した。
厚生労働省はこの日の会合で、これまでの議論を踏まえ、①イノベーションの評価②国民皆保険の持続性③安定供給の確保④薬価に関するルール⑤その他──に課題を整理した上で、具体的な検討事項を示した。
④には、7年度から新薬の薬価収載回数が年4回から7回に増えることを踏まえ、市場実勢価格に基づく薬価引き下げを猶予・緩和する「新薬創出等加算」の累積額控除や、年間販売額が予想よりも拡大した場合に一定の条件の下で薬価を引き下げる「市場拡大再算定」などの価格調整、報告品目や後発品の収載頻度などの検討を盛り込んだ。
②は、6年度診療報酬改定で新設した、後発品のある先発品 (長期収載品)と後発品との価格差の4分の1相当を患者の自己負担とする「長期収載品の選定療養」を踏まえた薬価のあり方のほか、先発品と後発品の薬価逆転の防止、先発品のメーカーから許諾を受けたオーソライズド・ジェネリックの取り扱いなどを検討するとした。
また、厚労省は、9~11月に「新薬」「長期収載品」「後発医薬品」「薬価に関するルール」「診療報酬改定がない年の薬価改定」などの枠組みの中で、議論を深めていく検討スケジュールも示した。
健保連の松本真人理事は、新薬の収載頻度の増加を踏まえ、市場拡大再算定など新薬収載時に合わせて四半期再算定として対応してきたルールも見直し、実施に適した時期を議論すべきと主張した。
また、「新薬の特許が切れたら、速やかに後発品に市場を譲ることが前提」とし、「新薬創出等加算で累積された額は、後発品が薬価収載された時点で控除するのが本来あるべき姿だ」と述べた。
森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、7年度薬価改定で一部の先発品が後発品よりも安くなる薬価逆転が生じ、選定療養の対象から外れるなどの影響があったと指摘し、現場では、患者への説明に苦慮するなど制度の理解が進んでいないことも課題とした。また、薬局の仕入れ価格が薬価を上回る「逆ザヤ」の問題に早期に対応するよう求めた。