健保ニュース
健保ニュース 2025年8月下旬号
令和8年度診療報酬改定へ
中医協 分科会中間まとめを了承
松本理事 報酬上評価の深掘り要請
中央社会保険医療協議会(会長・小塩隆士一橋大経済研究所特任教授)は6日、入院・外来医療等の調査・評価分科会による令和8年度診療報酬改定に向けた6年度実態調査に基づく「検討結果(中間とりまとめ)」を了承した。
健保連の松本真人理事は、急性期機能の集約化やかかりつけ医機能報告制度を踏まえた診療報酬上の評価を技術的観点からさらに深掘りするよう同分科会に要請した。
中間とりまとめは、▽急性期入院医療▽高度急性期入院医療▽包括的な機能を担う入院医療▽重症度、医療・介護必要度▽外来医療──など15項目についてそれぞれ評価・分析結果を整理し、委員の意見をまとめている。
急性期入院医療については、「人的資源や効率的な運用という点で中小規模の病院にくまなく配置するよりも、働き方改革も踏まえた集約化も行っていくべき」「手術件数が2000件を超えていても、手術の難易度などから算出される外保連指数が低い病院があり、単純に手術件数ではなく、手術の難易度を考慮することも必要」といった意見を紹介している。
また、外来医療のうち、かかりつけ医機能については、支払側と診療側の意見を併記した。
支払側は「かかりつけ医機能報告制度の開始を踏まえ、機能強化加算や地域包括診療料・加算などを同制度に沿った形に再検討することが求められる」としているが、診療側は「かかりつけ医機能報告制度は医療機関の機能を認定する制度ではなく、現状を把握するための制度であり、診療報酬と関連させるものではない」と主張している。
健保連の松本理事は、「特に高度な手術を行う急性期機能を地域の拠点病院に集約する流れは、医療の効率化や安全性、医療機関の経営安定化にもつながる」と述べ、どのような治療を拠点病院に集約すべきか、同分科会での詳細な検討を求めた。
また、「かかりつけ医機能報告制度が認定の仕組みではないことは理解している」としながら、「少なくとも、かかりつけ医機能の発揮が今後の地域医療にとって極めて重要なことは、診療側とも認識を共有できるのではないか」と述べた。
診療側の江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は、「8年度改定に向け、踏み込んだ意見も明記されたが、同分科会は技術的な課題に対して専門的な調査や検討を行う、あくまでも「参考」としての位置づけだ」と述べた上で、「具体的な診療報酬の評価の方向性は中医協総会で決定する」とし、とりまとめの内容には言及しなかった。
同検討会は中医協の了承を受け、7年度入院・外来医療等における実態調査の結果などを踏まえ、最終とりまとめに向けてさらに検討を深める。