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健保ニュース 2025年8月下旬号

8年度概算要求基準を閣議了解
社会保障費の自然増4000億円
物価動向は予算編成過程で反映

政府は8日の閣議で、令和8年度予算の概算要求基準を了解した。医療や年金など社会保障費については、自然増を4000億円とし、7年度当初予算額との合計を上限に要求するよう求めた。また、6月に決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に明記された物価動向などを踏まえた対応に相当する増加分は、予算編成過程で適切に反映するとした。

8年度予算については、骨太の方針などに基づき、歳出全般にわたり施策の優先順位を洗い直し、内容を大胆に重点化する。併せて、賃金や調達価格の上昇を踏まえて要求・要望することを求めた。

予算編成過程での検討事項には、高校無償化や物価高対策を含む重要政策を挙げた。制度改革で恒久的な歳入増を確保する場合も、歳出改革の取り組みと合わせ、予算編成過程で検討する。

予算のうち裁量的経費は、物価高対策を含む重要施策を推進するため、7年度当初予算額から20%の増額を認めた。

また、子ども・子育てに関する予算は、特別会計への計上分も含め、「こども未来戦略」に基づき要求するよう求めた。

賃上げ起点の成長型経済へ
諮問会議が予算全体像を了承

政府は7日、経済財政諮問会議(議長・石破首相)を開き、8年度予算の全体像を了承した。骨太の方針に沿ってメリハリの効いた編成とし、「賃上げを起点とした成長型経済の実現に着実に結びつく内容」にする方針だ。

政府は経済状況について、名目GDP(国内総生産)が600兆円を超えたことや、賃上げ率が2年連続で5%超となったことから、成長と分配の好循環が動き始めていると評価した。

一方、米国の関税措置や不安定な中東情勢、足元の物価高、生産年齢人口の減少などの課題も抱えており、リスクに備えつつ潜在成長率を高め、賃金、所得が継続的に上昇する成長型経済を実現させる必要があるとした。

併せて、「経済あっての財政」の考え方の下、経済財政運営に万全を期しつつ、歳出と歳入両面の改革を続け、経済政策に対する市場の信認を確実に得なければならないと指摘。これらの実現のため、骨太の方針を総合的に推進することが重要だとした。

賃上げを起点とした成長型経済の実現に向けては、持続的・安定的な物価上昇の下での1%程度の実質賃金上昇を定着させるため、適切な価格転嫁や生産性向上支援など、賃上げを後押しする施策を総動員する。

メリハリの効いた予算編成には、重要政策課題に必要な予算を措置するとともに、歳出改革努力を続ける方針を維持した。

その際、物価上昇を上回る賃金上昇の実現に向け、政府が率先して「予算・税制に係る公的制度の基準額・閾値の点検・見直し」「公定価格の引き上げ」「働き手の賃上げ原資を確保できる官公需における価格転嫁の徹底」を省庁横断的に推進し、その成果も踏まえ、経済や物価の動向を予算に適切に反映することを重視した。

また、諮問会議が昨年末にまとめた「経済・財政新生計画」や骨太の方針に盛り込まれた改革を進めつつ、同じく今年5月に決定した「経済・財政新生計画進捗管理・点検・評価表」などを通じてPDCAサイクルを強化することで、効果の乏しい事業を見直し、ワイズスペンディングにつなげる。

会議に出席した民間議員からは、「現在の政治情勢で改革を進めるには、給付と負担の将来像を見える化し、党派を超えた共通認識を得て建設的な議論につなげることが重要だ」と指摘し、政府が平成30年に発表した「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」の改訂を求める意見があった。

加藤財務相は「可能な限り早期のプライマリーバランス黒字化実現に向け、力強い経済再生を進める中で財政健全化も実現し、経済再生と財政健全化の両立を図る」と述べた。

石破首相は「今回決定した予算の全体像を念頭に、賃上げを起点とした成長型経済の実現に向け、概算要求基準も踏まえ、歳出、歳入両面の改革を継続する」と発言し、会議を締めくくった。

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