健保ニュース
健保ニュース 2025年8月合併号
7年度の支援金等負担金助成事業
前年度比15億円増 助成対象は1164組合
厚生労働省は7月31日付で、高齢者医療への過重な拠出金負担増を緩和する令和7年度高齢者医療支援金等負担金助成事業の算定基準などの取扱要領を定め、保険局高齢者医療課長から健保組合理事長宛てに通知した。健保組合への助成額は872億円(前年度比15億円増)で1164組合(同51組合増)が対象となる。
7年度は前年度と同様に▽既存分(総報酬に占める前期高齢者納付金負担の重さに着目した負担軽減策)▽新規分(拠出金の伸びに着目した負担軽減策)▽賃上げ分(賃上げなどで一定以上報酬水準が引き上げられた健保組合への負担軽減策)──の3区分で実施する。
事業全体の助成額は前年度と同額の942.5億円(旧給付費等臨時補助金分7.9億円を除く)で、健保組合への助成額872億円の内訳は、「既存分」が100億円(同5億円増)、「新規分」が542億円(同10億円増)、「賃上げ分」が230億円(前年度から変更なし)となっている。
今年度のスケジュールは、本通知発出後に対象組合から申請受付を開始。11月に交付決定を通知し、12月に交付を予定している。
補助金を区分別にみると、「既存分」は、標準報酬総額に占める前期高齢者納付金の割合(所要保険料率)が、健保組合平均(1.45%)の1.1倍超かつ被保険者1人当たり総報酬額が健保組合平均(622.7万円)未満、共済組合は共済組合平均(572.0万円)未満の保険者を助成対象とする。
対象保険者の所要保険料率に応じて、健保組合平均の1.3倍を超える部分に80%(前年度から変更なし)、1.2倍超~1.3倍以下の部分に60%(前年度比10ポイント増)、1.1倍超~1.2倍以下の部分に49.64%(同10.4ポイント増)の助成率を設定する。
前年度と比べ所要保険料率の低下などの影響で交付組合数は減少(同12組合減)したが、助成率の見直しにより交付額は5億円増加した。
「新規分」は、加入者1人当たり拠出金(前期高齢者納付金と後期高齢者支援金)が、団塊世代の前期高齢者への移行前となる平成23年度から令和7年度への伸び率に応じて助成する。
なお、比較の起点とする平成23年度の拠出金は、単年度による負担の偏りをならすため、平成22年度と平成23年度の2年度平均とする。
また、前年度と同様に財政力に応じた財政支援を実施することとし、①被保険者1人当たり総報酬額が健保組合は健保組合平均未満、共済組合は共済組合平均未満②被保険者1人当たり総報酬額が健保組合は健保組合平均以上、共済組合は共済組合平均以上──の2つの区分を設定した。
①は伸び率が2.3倍を超える部分に60%(前年度から変更なし)、2.0倍超~2.3倍以下の部分に50%(同)、1.7倍超~2.0倍以下の部分に40%(同)、1.35倍超~1.7倍以下の部分に20%(同)助成する。
②は伸び率が2.3倍を超える部分に50%(同)、2.0倍超~2.3倍以下の部分に40%(同)、1.7倍超~2.0倍以下の部分に30%(同)、1.35倍超~1.7倍以下の部分に7.83%(前年度比5.65ポイント減)を助成することとした。
前年度と比べ拠出金額増加の影響で交付組合数(同54組合増)と交付額(同10億円増)はいずれも増加した。
なお、「既存分」と「新規分」の両方の要件に該当する場合は新規分を優先して交付する。
「賃上げ分」は、加入者1人当たり拠出金が前年度比で増加かつ被保険者1人当たり総報酬額が前年度比で増加している保険者が対象。「新規分」と同様に財政力に応じて、▽被保険者1人当たり総報酬額が健保組合平均未満▽被保険者1人当たり総報酬額が健保組合平均以上かつ1人当たり総報酬額の伸びが1.5%以上──の2区分を前年度と同様に設定した。
「被保険者1人当たり総報酬額が健保組合平均未満」区分では1.2倍超の部分に60%(前年度から変更なし)、1.1倍超~1.2倍以下の部分に50%(同)、1.0倍超~1.1倍以下の部分に40%(同)を助成する。
「被保険者1人当たり総報酬額が健保組合平均以上かつ被保険者1人当たり総報酬額の伸びが1.5%以上」区分では1.2倍超の部分に40%(同)、1.1倍超~1.2倍の部分に30%(同)、1.0倍~1.1倍の部分に14.77%(前年度比4.74ポイント減)を助成することとした。
前年度と比べ被保険者1人当たり総報酬額が上昇した影響で交付組合(同151組合増)は増加した一方、被保険者1人当たり総報酬額が健保組合平均以上の最下層の区分の助成率は減少した。