健保ニュース
健保ニュース 2025年8月合併号
医療DX推進体制整備加算
マイナ保険証 利用率要件を引き上げ
中医協総会は7月23日、厚生労働省が提示した医療DX推進体制整備加算などの見直し案を了承した。このうち、マイナ保険証利用実績要件については「令和7年10月~8年2月末」、「8年3月~5月末」の2段階で現行基準の最大45%をそれぞれ60%、70%に引き上げることとなった。
厚労省はこの日の会合に、マイナ保険証の利用状況や電子カルテ情報共有サービスの導入状況を説明した上で、①マイナ保険証利用実績の基準値の段階的引き上げ②電子カルテ情報共有サービスの経過措置──などの見直し案を示した。
①は、今年12月に健康保険証の経過措置が終了することを踏まえ、今後もマイナ保険証を推進することを目的に見直す。
加算区分は電子処方箋の導入の有無に応じ、導入済みの「加算1~3」、未導入の「加算4~6」で構成されている。「加算1.4」の評価が最も高く、現在の利用率要件は45%で、10月以降に60%、来年3月以降に70%とする。「加算2.5」は現在30%で、10月以降40%、来年3月以降50%となる。「加算3.6」は現在15%で、10月以降25%、来年3月以降30%に変更する。
また、「加算3.6」の医療機関のうち、小児科外来診療を算定している場合にマイナ保険証利用率の基準を引き下げる「小児科特例」は、子どものマイナ保険証利用率が成人と比較して低い状況を踏まえ継続することとした。
②は、電子カルテ情報共有サービスの導入について、現在9月末まで経過措置が設けられているが、本格稼働には先の通常国会で未成立となった医療法改正案が施行される必要があることから、経過措置を来年5月末まで延長する。
健保連の松本真人理事は、①について、「マイナ保険証のさらなる利用率向上のために基準値の引き上げは妥当だ」と理解を示した。
小児科特例に対しては、「期間と対象の限定化やハードルを引き上げるべきとの考えは変わっていない」とする一方、「子どものマイナ保険証利用率が成人に比べ低い状況にあることなどを考慮すると、基準値の引き上げを条件に継続することはやむを得ない」と述べた。
また、診療報酬上の医療DXの取り扱いについて、「マイナ保険証利用率や電子カルテなどをまとめて医療DXと評価することには無理があるのではないか」と疑問を呈し、「医療DXの評価を診療報酬で評価する必要があるか、評価する場合であっても、どのように実施するか丁寧に議論すべき」と強調した。
診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、①について「マイナ保険証の利用率が着実に伸びていることを踏まえ、引き上げを2つの時期に分けたことや年齢階級別の利用実績を踏まえて、小児科特例が継続されることから見直し案を了承したい」と賛同した。
②については、「本格稼働の前提となる医療法改正が実現していないため、経過措置の延長は妥当」との認識を示すとともに、「今後も普及の実態を踏まえた丁寧な検討が必要」と述べた。